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【審査会名】
情報公開・個人情報保護審査会(当初内閣府、平成28年4月から総務省に設置)
【答申年月日】
平成21年1月22日
【答申番号】
平成20年度(行情)答申 第 421号
【要旨】
【開示請求文書の存否応答拒否について】本件対象文書が存在しているか否かについては,国家安全保障上,極めて機微な性質の情報であり,これが明らかになれば,我が国の安全が害されるおそれ,他国との信頼関係が損なわれるおそれ等があると行政機関の長が認めることにつき相当の理由があることから,法5条3号に規定する不開示情報に該当するものと認められる。また,防衛庁長官の国会答弁は,北朝鮮のミサイル基地攻撃に関する研究の存在を認めたとも認めていないとも解することができるが,国会答弁参考資料によれば,主題が「平素から行っている各種の研究」であることが認められ,これに引き続き「研究項目,研究内容などについては,事柄の性質上,明らかにすることは差し控えたい」とされており,その発言の趣旨を踏まえれば,防衛庁による北朝鮮のミサイル基地攻撃に関する研究が実施されたという事実は,いまだ何人にとっても明らかにされているとは言えず,よって,本件存否情報が本件開示請求時点において,公にされている情報であったとは認められない。
【概要】
本件は,防衛庁(現防衛省)による北朝鮮のミサイル基地攻撃に関する研究(平成17年4月16日付け特定新聞紹介)に係る文書の開示が請求された事案である。処分庁は,特定新聞の見出しから,開示請求文書を特定したが,当該文書の存在の有無を明らかにすることにより,防衛庁・自衛隊がどのような事態に備えているのかあるいは備えていないのかが明らかとなり,我が国の安全が害されるおそれがあるなど,法5条3号に規定する不開示情報を開示することと同様の効果が生ずるとして,法8条の規定に基づき,存否の応答を拒否した。異議申立人は,防衛庁長官は,国会答弁において,防衛庁による北朝鮮のミサイル基地攻撃に関する研究の存在を認めている旨主張している。しかしながら, 諮問庁は,防衛庁長官の国会答弁の趣旨は,具体的にどのような研究をしていたかを明らかにしたものではなく,本件請求に係る研究の存否について述べたものではないとし,原処分を維持した。答申は,本件対象文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否した決定については,当該情報は法5条3号に該当すると認められ,妥当であるとした。
【同一事案の判決】
同一事案の判決はありません。