諮問庁 厚生労働大臣
諮問日 平成24年 9月 6日(平成24年(行情)諮問第359号)
答申日 平成25年10月 3日(平成25年度(行情)答申第211号)
事件名 原爆被爆者対策基本問題懇談会議事録の一部開示決定に関する件

答 申 書

第1  審査会の結論
 原爆被爆者対策基本問題懇談会議事録(第1回ないし第10回,第12回及び第13回)(以下「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした決定については,諮問庁がなお不開示とすべきとしている部分のうち,別紙2,別紙3及び別紙4に掲げる部分を開示すべきである。

第2  異議申立人の主張の要旨
 異議申立ての趣旨
 本件異議申立ての趣旨は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく本件開示請求に対し,平成23年10月26日付け厚生労働省発健1026第3号により厚生労働大臣(以下「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った本件対象文書の一部開示決定(以下「原処分」という。)について,取消しを求めるというものである。

 異議申立ての理由
 異議申立人の主張する異議申立ての理由の要旨は,以下のとおりである。
(1)  異議申立書の記載
 原処分は,次の理由により違法である。
 政府は,平成17年8月3日,各府省の担当者で構成された情報公開に関する連絡会議において,「懇談会等行政運営上の会合における発言者の氏名について」と題する申し合わせを行い,これらの会合の議事録等における発言者の氏名は,特段の理由がない限り,公務員か否かを問わず公開することとされた。
 実際に,例えば財務省所管の国有財産中央審議会議事録(第1回ないし第67回)においては,発言者氏名も含めて開示されている。
 本件において処分庁が述べる不開示理由は,抽象的一般論にすぎず,特段の理由には当たらない。

(2)  意見書の記載
 諮問までの経過について
 諮問庁が,諮問まで9か月近くを要したことは異常である。理由説明の内容に照らして,長期間の検討が必要であったとは到底思われない。故意に日時を費やした可能性さえ疑われる。

 諮問庁の理由説明の不当性について
(ア)  現在の施策への影響等について
 諮問庁の理由説明は,結局,懇談会がいかに問題のある審議内容であったかを,当の諮問庁が,るる指摘することに終始している。
 諮問庁は,発言者氏名が明らかになった場合,現在の被爆者援護施策への誤解や不信感を招く可能性がある,その審議内容が問題視される可能性が大きい,氏名の開示を機に更なる追及が考えられるといった事態が懸念されるとする。
 しかし,これは,本末転倒の懸念と言うべきである。そうしたことは,国民がその内容を逐一吟味した後であり得るかもしれないことであって,発言者と発言内容を唯一知っている諮問庁が,そうした可能性にわざわざ言及するということは,問題視され,追及され,誤解や不信感を招いてもやむを得ない内容であることを,自ら告白しているに等しい。
 仮に諮問庁が説明するとおり,相当の問題がある審議内容であったとすれば,現在も被爆者対策の基本と諮問庁が位置付ける重要な懇談会報告書が,瑕疵ある審議を積み重ねて作られたこととなり,そういうことが放置されている現状は,著しく公益に反する事態であると言わなければならない。
 また,当時,そうした誤った審議を,諮問庁は,事務方として少なくとも補佐又は主導したのかもしれず,発言者氏名を含む本件対象文書を精査することは,行政が適正に執行されていたかを検証するため必要であり,公益にかなうものである。

(イ)  懇談会委員のプライバシーについて
 結局,諮問庁は,氏名等の開示によるプライバシーの侵害に比べて,開示で得られる利益が上回るとは考え難いと主張しているようである。
 言うまでもなく,委員は重い責任を負っている。当時,7人の委員は,原爆被爆者への援護策をどうするか,被爆者の健康,生活,ひいては喫緊の生死に直接関わってくる意見の取りまとめを求められていた。結果,その意見を取りまとめた報告書が,その後の原爆被爆者対策の基本として取り扱われてきた。
 したがって,その重要性に鑑みれば,上記(ア)で指摘したとおり,諮問庁が言うところの審議内容に問題があったのだとすれば,発言者氏名を含む発言内容と審議経過を逐一検証することが,公益にかなうと言うべきである。むしろ,発言者氏名が明らかになることで,事実誤認や無用な誤解や不信感が減じると言うべきである。
 また,諮問庁が,発言者が不明でも検討内容を検証できるとする説明は空論である。
 当該発言を誰がしたかは,極めて重要な情報である。7人の委員の各発言は,それぞれの学識にとどまらず,人生体験はもとより,人生観,価値観といった全人格を背景にして発せられている。各発言内容は,委員個人の人格と密接不可分なのであるから,発言者が明示されることで,はじめて各発言がなされた背景,思想,真意も理解できるのである。
 したがって,発言内容に対応する発言者氏名が明示されて,はじめて懇談会の検討内容を検証することが可能となる。そして,無用な誤解や事実誤認も避けられるのである。
 以上のとおり,本件対象文書の不開示部分についての諮問庁の理由説明は失当であり,開示すべきである。

第3  諮問庁の説明の要旨
 諮問庁の考え方
 本件対象文書について,原処分においては,法5条1号及び5号に該当する情報を含むとして一部開示としたが,諮問庁としては,原処分の一部を変更し,不開示とした部分のうち,会議の冒頭及び終了時における発言者の氏名で,個人的見解や議論の内容に関連しない部分については開示することとし,その余の部分については,不開示を維持すべきと考える。

 理由
(1)  原爆被爆者対策基本問題懇談会について
 原爆被爆者対策基本問題懇談会(以下「懇談会」という。)は,昭和54年1月29日付けの社会保障制度審議会の答申の趣旨に則り,原爆被爆に関する問題についての基本理念を明らかにするとともに,被爆者対策における制度の基本的なあり方について検討することを目的とした厚生大臣の私的諮問機関である。

(2)  本件対象文書について
 懇談会議事録は,懇談会が,昭和54年6月に厚生大臣の依嘱を受け,昭和54年6月以降14回にわたり,非公開で慎重に審議を重ねた議論の経過が記載されているものである。

(3)  不開示情報該当性について
 原処分において不開示とした部分は,個人の氏名及び職歴,著者名並びに発言者の氏名である。
 個人の氏名及び職歴並びに著者名については,個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができる情報であり,法5条1号に該当し,同号ただし書イないしハのいずれにも該当しない。
 氏名等の取扱について,まず,懇談会の議事が非公開であることを前提に,懇談会委員が個人的な見解を率直に発言した内容となっているところ,これは,原爆被爆者対策が政治的,社会的に大きな関心を呼んでおり,戦後処理を巡る様々な動向にも大きな影響を及ぼすことから,非公開としたものである。
 特に,懇談会では,「国家補償」,「被爆地域拡大」など原爆被爆者対策における基本的政策に関わる内容を取り扱っており,影響が非常に大きいことから,そのような状況の中で,出来るだけ外部からの様々な影響(政治的も含む)を排除して,委員による自由闊達な議論を行い,国の政策判断を遂行する基礎として,適正な報告を出してもらうよう依頼した。その後,懇談会報告書の趣旨を元に被爆者援護施策の拡充を行い,原爆被爆者対策の基本として取り扱ってきたところであるが,現在においても原爆症の認定制度の見直しが求められるなど,被爆者援護施策に対する厳しい要望が続いており,30年を経過した現在においても,懇談会報告書の重要性が増している状況である。
 特に,被爆地域拡大要望については,広島,長崎とも活発であるが,国側の対応の拠り所が懇談会報告書であり(「科学的・合理的な根拠のある地域に限定して行うべき」),今後とも一貫した対応を行う上で大変重要な内容となっている。
 一方,被爆者団体などからは,国の審議会委員などが「被爆者対策の専門家」でないことをもって,被爆者の現状を反映していないとして,その内容を批判することがある。懇談会委員も,法律などの専門家で構成していたが,被爆者の現状については全ての委員が必ずしも熟知しておらず,懇談会の議論部分での氏名が公開されることで,発言者個人への批判を含めた具体的な指摘を通して,その審議内容が問題視される可能性が大きい。
 また,政治的な内容を含む発言もあるため,発言者が明らかになることで,基本的施策の在り方に関する誤解や不信感が増幅する可能性がある(平成22年8月1日付け東京新聞朝刊では,懇談会での委員の発言内容が批判的に引用されており,氏名の開示を機に更なる追及が考えられる)。
 さらに,発言者の意図した内容と異なる取り上げられ方をすることで,懇談会の審議や報告の内容が問題視される可能性があり,結果的に,現在の被爆者援護施策への誤解や不信感を招く可能性がある。
 また,懇談会における各委員の発言には,誤解,偏見,差別等を含む内容が含まれており,開示することで委員(故人)及び遺族等への誹謗中傷につながり,弁明の機会もないことから,結果的にその名誉が傷つけられる可能性がある。
 さらに,各委員の当時の職責から,一部を除いて他の機会で原爆被爆者対策に関する同様の意見を表明する場は皆無であり,原爆被爆者援護策という特別な性格をもつ内容での見解は,通常とは一線を画すべきである。
 したがって,原爆被爆者対策に関係のない委員が,何らかの公職についていることをもって,慣行上氏名を開示すべきとするのは適当でなく,また,原爆被爆者施策に関わる委員のみの氏名を開示することも,委員間の公平の観点及び審議事項の重要性から,適当でない。
 さらに,懇談会の議事内容自体は開示されており,情報公開の目的が,行政施策での検討内容の検証を行うものだとすれば,その趣旨は既に達成されており,氏名等の開示によるプライバシーの侵害に比べて,開示で得られる利益が上回るとは考え難く,比較考量の点からも開示すべきでない。
 なお,議論部分での委員氏名を一部でも開示することは,その他の発言部分にも引用又は類推を通して確認される可能性は否定できず,結果的に,氏名を全面開示することと同様の結果を招来する可能性があり,開示すべきでない。
 また,委員の発言中で引用されている他者の氏名等についても,当人の承諾なしに取り上げられており,当人の評価等につながる内容が含まれていることから,開示すべきでない。
 また,懇談会では,外部の関係者からヒアリングを行っている(第5回及び第8回)ところ,ヒアリング参加者についても非公開を前提として実施しているものであり,発言者のほとんどが既に故人であり,氏名開示の了解を統一的に取れないことから,不開示とすべきである。
 以上のように,仮に開示がされれば,懇談会への批判等を通して,今後の行政への影響は避けられず,かつ,発言者の評価をおとしめ,遺族の私的領域に係る利益(プライバシー)が侵害されるおそれがあることから,意思決定の中立性を不当に損ない,かつ,発言者等に不利益を及ぼし,特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがある情報であり,法5条5号にも該当し,これらの情報が記録されている部分を不開示とすべきである。
 なお,会議の冒頭及び終了時における,議事進行に関する発言者の氏名について,個人的見解や議論の内容に関連しない部分であれば,開示することに問題はないと考える。

 結論
 以上のとおり,原処分で不開示とした部分のうち,会議の冒頭及び終了時における発言部分で,個人的見解や議論の内容に関連しない部分を除いて,不開示を維持すべきである。

第4  調査審議の経過
 当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
平成24年9月6日 諮問の受理
同日 諮問庁から理由説明書を収受
同年10月12日 審議
同日 異議申立人から意見書を収受
平成25年8月2日 委員の交代に伴う所要の手続の実施及び審議
同年9月3日 本件対象文書の見分及び審議
同年10月1日 審議

第5  審査会の判断の理由
 本件対象文書について
 本件対象文書は,昭和54年6月から昭和55年12月まで開催された懇談会の議事録(以下「議事録」という。)のうち,第1回ないし第10回,第12回及び第13回に係るものであり,その記載内容は,上記第3の2において諮問庁が説明するとおりである。
 諮問庁説明によれば,当時,懇談会は14回開催されたとのことであり,当審査会において事務局職員をして諮問庁に確認させたところによれば,第11回及び第14回に係る議事録については,厚生労働省内の書庫,事務室等を探索したものの,それらの存在を確認できなかったとのことである。
 処分庁は,本件対象文書のうち,法5条1号に該当するとした特定個人の所属,姓,氏名及び敬称(以下「特定個人の氏名等」という。)並びに同条1号及び5号に該当するとした発言者の姓,氏名及び敬称(以下「発言者の氏名等」という。)を不開示として,発言内容を含むその余の部分は開示し,本件対象文書として特定していない議事録は,これを保有していないとする原処分を行った。
 異議申立人は,第11回及び第14回に係る議事録の不存在を争わず,本件対象文書の全部開示を求めている。
 諮問庁は,発言者の氏名等の一部を開示することとするが,その余の部分は,いずれも法5条1号及び5号に該当するとして,なお不開示とすべきとしているので,以下,本件対象文書の見分結果を踏まえ,諮問庁がなお不開示とすべきとしている部分(以下「本件不開示部分」という。)の不開示情報該当性について検討する。

 本件不開示部分の不開示情報該当性について
(1)  別紙1及び別紙4に掲げる特定個人の氏名等
 法5条1号該当性について
(ア)  特定個人C,同O,同R,同S,同T,同U,同V,同Y及び同Zの氏名等
 当該部分は,法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,当該個人を識別することができるものに該当する。
 そして,当該部分について,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報とは言えないことから,法5条1号ただし書イに該当せず,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められない。
 次に,法6条2項による部分開示の可否を検討すると,当該個人の姓及び氏名は,個人識別部分に該当し,部分開示の余地がなく,法5条5号について判断するまでもない。
 しかしながら,別紙4に掲げる敬称については,開示したとしても,個人を特定する手掛かりとなるとは言えないことから,当該個人の権利利益を害するおそれがないと認められる。

(イ)  特定個人H,同I及び同eの氏名等
 当該部分は,法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,当該個人を識別することができるものに該当する。
 そして,当該個人は,いずれも,当時又は懇談会開催時の国家公務員であるものの,原処分において開示されている発言内容によれば,職務を遂行した国家公務員の姓ではなく,原爆投下地における自らの被爆等に関する体験を語り伝えた者の姓として,引用又は言及されていることが認められる。
 そうすると,このような私的な体験を語り伝えた当該個人の姓が,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報とは言えないことから,法5条1号ただし書イに該当せず,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められない。
 次に,法6条2項による部分開示の可否を検討すると,当該個人の姓は,個人識別部分に該当し,部分開示の余地がなく,法5条5号について判断するまでもない。
 しかしながら,別紙4に掲げる敬称については,開示したとしても,個人を特定する手掛かりとなるとは言えないことから,当該個人の権利利益を害するおそれがないと認められる。

(ウ)  特定委員α及び同βの氏名等
 当該部分は,法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,当該個人を識別することができるものに該当する。
 そして,当該個人は,後述する懇談会委員であるものの,原処分において開示されている発言内容によれば,健康上の理由で懇談会を欠席した委員として言及されていることが認められる。
 そうすると,このような私的な事情を言及された当該個人の姓が,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報とは言えないことから,法5条1号ただし書イに該当せず,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められない。
 次に,法6条2項による部分開示の可否を検討すると,当該個人の姓は,個人識別部分に該当し,部分開示の余地がなく,法5条5号について判断するまでもない。
 しかしながら,別紙4に掲げる敬称については,開示したとしても,個人を特定する手掛かりとなるとは言えないことから,当該個人の権利利益を害するおそれがないと認められる。

 法5条5号該当性について
 次に,別紙4に掲げる敬称の法5条5号該当性について検討すると,開示することによって,将来同種の懇談会等において,外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるとは認められず,当該部分を開示すべきである。

(2)  別紙2及び別紙4に掲げる特定個人の氏名等
 法5条1号該当性について
(ア)  特定個人A,同D,同E,同F,同J,同K,同L,同N,同a,同g,同h,同j及び同kの氏名等
 当該部分は,法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,当該個人を識別することができるものに該当する。
 そして,原処分において開示されている発言内容には,当該個人の調査・研究活動又は言論・著作活動のあらましが述べられており,公に刊行されている当該個人の著作物及び公開されているインターネット・ホームページ上の当該個人の調査・研究成果を照合することにより,当該個人の所属,姓,氏名及び敬称は,慣行として公にされている情報であると認められ,法5条1号ただし書イに該当する。

(イ)  特定個人b,同c及び同iの氏名等
 当該部分は,法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,当該個人を識別することができるものに該当する。
 そして,原処分において開示されている発言内容及び公開されているインターネット・ホームページ情報において,発言内容中の当該個人の研究活動が,国の科学研究費補助により行われたことが確認できる。
 国の科学研究費補助により行われた研究成果がその研究者名とともに慣行として公表されている現時点においては,当該個人の氏名等は,慣行として公にすることが予定されている情報であると言うべきであり,法5条1号ただし書イに該当する。

(ウ)  特定個人B,同G,同M及び同Qの氏名等
 当該部分は,法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,当該個人を識別することができるものに該当する。
 そして,当該個人は,原処分において開示されている発言内容及び公開されているインターネット・ホームページ情報において,当時又は懇談会開催時の国家公務員であることが確認できる。
 平成17年8月3日情報公開に関する連絡会議申合せにより,職務遂行に係る情報に含まれる公務員の氏名は,原則として,公にするものとされていることから,当該個人の姓,氏名及び敬称は,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報であり,法5条1号ただし書イに該当する。

(エ)  特定個人P,同f及び同lの氏名等
 当該部分は,法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,当該個人を識別することができるものに該当する。
 そして,当該個人は,原処分において開示されている発言内容において,当時又は懇談会開催時の国会議員であることが確認できる。
 職務を遂行した国会議員の姓,氏名及び敬称については,国会議員の地位が極めて公共性の高いものであることにかんがみると,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報であり,法5条1号ただし書イに該当する。

(オ)  特定個人W,同X及び同dの姓及び氏名
 当該部分は,法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,当該個人を識別することができるものに該当する。
 そして,当該部分は,特定訴訟事件における原告の姓及び氏名であるところ,原処分において開示された部分に,当該訴訟の概要が,当該個人の姓及び氏名が冠された事件名とともに記載されていることが認められる。
 よって,当該個人の姓及び氏名は,法5条1号ただし書イに該当する。

 法5条5号該当性について
 次に,別紙2に掲げる特定個人の所属,姓及び氏名並びに別紙4に掲げる敬称の法5条5号該当性について検討すると,開示することによって,将来同種の懇談会等において,外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるとは認められず,当該部分を開示すべきである。

(3)  別紙3及び別紙4に掲げる発言者の氏名等
 本件不開示部分のうち,上記(1)及び(2)において判断した部分以外の別紙3及び別紙4に掲げる発言者の氏名等は,①発言者の氏名等,②発言内容中,発言者が呼びかけている相手である別の発言者の氏名等及び③発言内容中,発言者が引用又は言及している別の発言者の氏名等(別紙1の9の特定個人α及び同βの姓を除く。)である。
 法5条1号該当性について
 まず,当該部分の法5条1号該当性について検討すると,これらは,同号本文前段に規定する個人に関する情報であって,当該個人を識別することができるものに該当する。
 そして,当該個人は,厚生大臣から委嘱され懇談会において発言した委員及び懇談会において委員に対し意見を陳述した関係者である。
 これらの発言者の氏名については,「懇談会等行政運営上の会合における発言者の氏名について」(平成17年8月3日情報公開に関する連絡会議資料)において,各府省は,「懇談会等行政運営上の会合の議事録等における発言者の氏名については,特段の理由がない限り,当該発言者が公務員であるか否かを問わず公開するものであることに留意する」としている。
 そうすると,別紙3に掲げる発言者の姓,氏名及び敬称は,いずれも,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報であり,法5条1号ただし書イに該当する。

 法5条5号該当性について
 次に,別紙3に掲げる発言者の姓及び氏名並びに別紙4に掲げる敬称の法5条5号該当性について検討すると,上記アの「懇談会等行政運営上の会合における発言者の氏名について」に基づき,現行の同種の懇談会等の議事録における発言者の氏名について,厚生労働省を含む各府省がインターネット・ホームページ上で公開することが慣行となっている現時点においては,作成及び保有から30年余を経た議事録における別紙3に掲げる発言者の姓及び氏名並びに別紙4に掲げる敬称を開示することによって,将来同種の懇談会等において,外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるとは,もはや認めることができず,当該部分を開示すべきである。

 異議申立人のその他の主張について
 異議申立人は,その他種々主張するが,いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。

 本件一部開示決定の妥当性について
 以上のことから,本件対象文書につき,その一部を法5条1号及び5号に該当するとして不開示とした決定について,諮問庁がなお不開示とすべきとしている部分のうち,別紙1に掲げる部分は,同条1号に該当すると認められるので,同条5号について判断するまでもなく,不開示とすることが妥当であるが,別紙2,別紙3及び別紙4に掲げる部分は,同条1号及び5号のいずれにも該当せず,開示すべきであると判断した。

(第3部会)
委員 岡島敦子,委員 大久保規子,委員 加々美光子




別紙1
 特定個人Cの姓及び氏名
 第2回議事録51頁19行目及び52頁1行目
 特定個人Hの姓
 第3回議事録33頁14行目及び第8回議事録20頁左側15行目(敬称を除く。)
 特定個人Iの姓
 第3回議事録37頁20行目,第8回議事録12頁右側19行目及び19頁右側8行目(敬称を除く。)
 特定個人Oの姓
 第3回議事録54頁1行目
 特定個人R,同S,同T及び同Uの姓
 第5回議事録29頁右側20行目
 特定個人Vの姓
 第5回議事録65頁右側12行目
 特定個人Y及び同Zの姓
 第6回議事録44頁右側8行目及び9行目(敬称を除く。)
 特定個人eの姓
 第8回議事録19頁右側15行目
 特定個人α及び同βの姓
 第8回議事録85頁左側15行目及び右側5行目(敬称を除く。)




別紙2
 特定個人Aの氏名
 第2回議事録38頁5行目及び6行目
 特定個人Bの氏名
 第2回議事録50頁14行目
 特定個人Dの姓
 第2回議事録64頁8行目,第3回議事録39頁18行目,第9回議事録14頁右側1行目及び第10回議事録34頁右側1行目
 特定個人Eの姓
 第3回議事録12頁2行目及び20頁16行目並びに第12回議事録27頁右側20行目及び33頁左側6行目2人目
 特定個人Fの姓
 第3回議事録18頁3行目及び36頁4行目
 特定個人Gの姓
 第3回議事録22頁10行目
 特定個人Jの所属及び姓
 第3回議事録39頁18行目及び19行目
 特定個人Kの姓
 第3回議事録41頁12行目,42頁1行目及び44頁13行目並びに第6回議事録6頁左側6行目
 特定個人Lの姓
 第3回議事録41頁12行目及び44頁12行目
10  特定個人Mの氏名
 第3回議事録53頁6行目及び7行目
11  特定個人Nの姓
 第3回議事録53頁12行目
12  特定個人Pの姓
 第4回議事録52頁16行目並びに第13回議事録20頁左側18行目及び右側1行目
13  特定個人Qの姓
 第4回議事録72頁5行目
14  特定個人Wの氏名
 第6回議事録9頁右側10行目及び18頁右側3行目並びに第7回議事録18頁右側15行目
15  特定個人Xの姓
 第6回議事録18頁左側8行目
16  特定個人aの姓
 第6回議事録48頁右側1行目
17  特定個人b及び同cの氏名
 第8回議事録3頁右側6行目
18  特定個人dの姓
 第8回議事録15頁左側5行目
19  特定個人fの氏名
 第8回議事録25頁右側10行目及び11行目
20  特定個人gの姓
 第8回議事録80頁左側13行目
21  特定個人hの姓
 第9回議事録37頁左側10行目及び右側1行目
22  特定個人iの姓
 第10回議事録9頁左側11行目
23  特定個人jの姓及び氏名
 第10回議事録14頁左側1行目及び2行目
24  特定個人kの姓
 第12回議事録33頁左側6行目3人目
25  特定個人lの氏名
 第13回議事録3頁左側15行目及び13頁左側7行目




別紙3
 発言者の姓及び氏名
 発言内容中,発言者が呼びかけている相手である別の発言者の姓及び氏名
 発言内容中,発言者が引用又は言及している別の発言者の姓及び氏名(別紙1の9の特定個人α及び同βの姓を除く。)




別紙4
姓及び氏名に敬称が付記されている者の敬称の全て