諮問庁 | : | 防衛大臣 |
諮問日 | : | 令和6年2月15日(令和6年(行情)諮問第144号) |
答申日 | : | 令和6年5月24日(令和6年度(行情)答申第85号) |
事件名 | : | 護衛艦「かが」を特定艦長と特定の場所で撮影した画像等の不開示決定(不存在)に関する件 |
答 申 書
第1 審査会の結論
別紙に掲げる文書(以下「本件対象文書」という。)につき,これを保有していないとして不開示とした決定は,妥当である。
第2 審査請求人の主張の要旨
1 審査請求の趣旨
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく開示請求に対し,令和5年8月21日付け防官文第17573号により,防衛大臣(以下「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った不開示決定(以下「原処分」という。)について,その取消しを求める。
2 審査請求の理由
審査請求人の主張する審査請求の理由は,審査請求書の記載によると,おおむね以下のとおりである。
特定法人はTwitter上にて護衛艦”かが”の新旧艦長と”かが”を乾ドックの中で撮影した画像を「公開の許可がなされた」として公開した。本画像についてこの画像以前に公開されたものではないため本画像は海上自衛隊あるいは海上自衛隊内の個人によって特定法人に対して送られたものであるとできる。(請求時は当該企業等としているがこれは特定法人以外を経由した画像入手の可能性を考慮したものである。)
一般論として作業中の乾ドックの画像を公開する際,艦艇の通常見えない部分やドック内作業の様子が見え,(そのようなものが本画像にあるか否かは置いておいて)機密に関わる事項が公開されうるため公開の許可を出すにあたり画像内に機密事項がないことを確認する必要がある。その際「当該画像に機密事項がない」ということを確認できる相応の立場の者による許可を得ることが必要であると考えられる。したがって本文書を送る際一定以上の立場の者による許可が得られたものと考えられる。
ところで特定法人,並びにそのメンバーはメールアドレス,電話・FAX番号等画像が送付できる連絡先を一切公開しておらず,個人がデータを送付することは不可能である。したがって本画像は海上自衛隊が送付したものとできる。また,「海上自衛隊・海上自衛隊の特定地方総監部がTwitterのDMを送付した事実はないとしているためこの画像をメールによって特定法人に対して送付した事実は存在するとできる。
なお本件については新旧艦長と撮影者に聞き取り調査を行うべき事案であると考える。
第3 諮問庁の説明の要旨
1 経緯
本件開示請求は,本件対象文書の開示を求めるものであり,これに該当する行政文書の保有を確認することができなかったことから,令和5年8月21日付け防官文第17573号により,法9条2項の規定に基づき,文書不存在による不開示決定処分(原処分)を行った。
本件審査請求は,原処分に対して提起されたものである。
2 本件対象文書の保有の有無について
本件対象文書については,作成又は取得しておらず,保有を確認することができなかったことから,文書不存在につき不開示とした。
3 審査請求人の主張について
審査請求人は,上記第2の2のとおり,原処分の取消しを求めるが,上記2のとおり,本件対象文書については作成又は取得しておらず,所要の探索を行ったにもかかわらず保有を確認できなかったことから,不存在につき不開示としたものであり,本件審査請求を受けて念のため所要の探索を行ったが,再度の探索においても保有を確認できなかった。
よって,審査請求人の主張には理由がなく,原処分を維持することが妥当である。
第4 調査審議の経過
当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
① 令和6年2月15日 諮問の受理
② 同日 諮問庁から理由説明書を収受
③ 同年4月19日 審議
④ 同年5月20日 審議
第5 審査会の判断の理由
1 本件開示請求について
本件開示請求は,本件対象文書の開示を求めるものであり,処分庁は,これを保有していないとして,不開示とする原処分を行った。
これに対し,審査請求人は,原処分の取消しを求めているところ,諮問庁は,原処分を維持することが妥当としていることから,以下,本件対象文書の保有の有無について検討する。
2 本件対象文書の保有の有無について
(1)当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,改めて確認させたところ,おおむね以下のとおり説明する。
ア 本件対象文書は,護衛艦「かが」を乾ドックの中で撮影した画像及び当該画像を公開することを許可する旨を記載した文書であると解される。
イ 当該画像は,護衛艦「かが」の修理を行う会社の敷地内で催された特定行事の日に撮影されたものであると思われるものの,当該行事の最中に撮影されたものであるとは認められず,防衛省の職員が職務上作成又は取得したものではなく,防衛省において保有していない。
なお,防衛省において,当該画像を作成又は取得しておらず,保有していないことから,当該画像の公開の許可について関知していない。
したがって,防衛省において,当該画像を公開することを許可する旨を記載した文書を作成又は取得しておらず,保有していない。
ウ また,護衛艦「かが」及び同艦の上級部隊である第4護衛隊群司令部において,所要の探索を行ったが,本件対象文書に該当する行政文書の保有は確認できなかった。
(2)以上を踏まえ検討すると,当該画像は,護衛艦「かが」の修理を行う会社の敷地内で催された特定行事の日に撮影されたものであると思われるものの,当該行事の最中に撮影されたものであるとは認められず,防衛省の職員が職務上作成又は取得したものではなく,防衛省において保有していないとする諮問庁の上記(1)イの説明を否定することまではできず,これを覆すに足りる事情も認められない。
そして,上記(1)ウの探索の範囲等も不十分とはいえない。
(3)したがって,防衛省において,本件対象文書を保有しているとは認められない。
3 審査請求人のその他の主張について
審査請求人のその他の主張は,当審査会の上記判断を左右するものではない。
4 本件不開示決定の妥当性について
以上のことから,本件対象文書につき,これを保有していないとして不開示とした決定については,防衛省において本件対象文書を保有しているとは認められず,妥当であると判断した。
(第4部会)
委員 白井幸夫,委員 田村達久,委員 野田 崇
別紙 本件対象文書
当該企業等に対して送付された護衛艦”かが”の新旧艦長と”かが”を乾ドッグの中で撮影した画像,並びに当該画像をインターネットで公開することを許可する旨を記載した文書