諮問庁 | : | 防衛大臣 |
諮問日 | : | 令和6年2月15日(令和6年(行情)諮問第143号) |
答申日 | : | 令和6年5月17日(令和6年度(行情)答申第76号) |
事件名 | : | 特定地方総監部が特定法人と行った特定の発注依頼等の不開示決定(不存在)に関する件 |
答 申 書
第1 審査会の結論
別紙に掲げる文書(以下「本件対象文書」という。)につき,これを保有していないとして不開示とした決定は,妥当である。
第2 審査請求人の主張の要旨
1 審査請求の趣旨
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく開示請求に対し,令和5年8月21日付け防官文第17572号により,防衛大臣(以下「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った不開示決定(以下「原処分」という。)について,その取消しを求める。
2 審査請求の理由
審査請求人の主張する審査請求の理由は,審査請求書の記載によると,おおむね以下のとおりである。
特定キャラクターについて特定法人は「海上自衛隊特定地方総監部から,特定法人に対して公式に依頼があった」としている。また,特定キャラクターのグッズについてJMSDFと特定法人の両方の著作権表記があることから,著作権に関しての契約が何かしらあることは明らかである。一般的にこのようなキャラクターの制作・使用にあたり著作権に関する契約やキャラクターの発注依頼が存在しないことはありえないため当該文書は存在すると考えられる。
第3 諮問庁の説明の要旨
1 経緯
本件開示請求は,本件対象文書の開示を求めるものであり,これに該当する行政文書の保有を確認することができなかったことから,令和5年8月21日付け防官文第17572号により,法9条2項の規定に基づき,文書不存在による不開示決定処分(原処分)を行った。
本件審査請求は,原処分に対して提起されたものである。
2 本件対象文書の保有の有無について
本件対象文書については,作成又は取得しておらず,保有を確認することができなかったことから,文書不存在につき不開示とした。
3 審査請求人の主張について
審査請求人は,上記第2の2のとおり,原処分の取消しを求めるが,上記2のとおり,本件対象文書については作成又は取得しておらず,所要の探索を行ったにもかかわらず保有を確認できなかったことから,不存在につき不開示としたものであり,本件審査請求を受けて念のため所要の探索を行ったが,再度の探索においても保有を確認できなかった。
よって,審査請求人の主張には理由がなく,原処分を維持することが妥当である。
第4 調査審議の経過
当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
① 令和6年2月15日 諮問の受理
② 同日 諮問庁から理由説明書を収受
③ 同年4月19日 審議
④ 同年5月13日 審議
第5 審査会の判断の理由
1 本件開示請求について
本件開示請求は,本件対象文書の開示を求めるものであり,処分庁は,これを保有していないとして,不開示とする原処分を行った。
これに対し,審査請求人は,原処分の取消しを求めているところ,諮問庁は,原処分を維持することが妥当としていることから,以下,本件対象文書の保有の有無について検討する。
2 本件対象文書の保有の有無について
(1)当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,改めて確認させたところ,おおむね以下のとおり説明する。
ア 特定キャラクターの作成に関するやり取り等については,令和元年夏頃に,特定地方総監部と特定法人との間で,電話又は電子メールで行われていたが,特定キャラクターを作成した時点で当該メールは不要となったため,既に廃棄されている。
イ 特定キャラクターの版権は特定法人及び特定地方総監部が所有し,双方が勝手に使用しないよう口頭で取決めをしているため,契約書等の文書の作成は行われていない。
ウ 念のため,特定地方総監部において,当該メールについて,紙で印刷し保存されたものがないか,共有フォルダ等に保存されていないか,探索を行わせたところ,該当する電子メールの存在は確認できなかった。
(2)以上を踏まえ検討すると,当該メールについて,特定キャラクター作成後に不要となり廃棄したとする諮問庁の上記(1)アの説明に特段不自然,不合理な点はない。
また,特定キャラクターの版権について特定法人と特定地方総監部双方が共に所有していることを踏まえると,版権等に関して口頭で取決めをしており,契約書等の文書の作成は行われていないとする諮問庁の上記(1)イの説明を否定することまではできず,これを覆すに足りる事情も認められない。
そして,上記(1)ウの探索の範囲や方法も不十分とはいえない。
(3)したがって,防衛省において,本件対象文書を保有しているとは認められない。
3 審査請求人のその他の主張について
審査請求人のその他の主張は,当審査会の上記判断を左右するものではない。
4 本件不開示決定の妥当性について
以上のことから,本件対象文書につき,これを保有していないとして不開示とした決定については,防衛省において本件対象文書を保有しているとは認められず,妥当であると判断した。
(第4部会)
委員 白井幸夫,委員 田村達久,委員 野田 崇
別紙 本件対象文書
特定地方総監部が当該企業等と行った特定キャラクターの発注依頼,当該企業等が特定キャラクターをキャラクターとして使用するように依頼した記録,特定キャラクターについての打合せの際作成された文書全て