諮問庁 | : | 国立大学法人長岡技術科学大学 |
諮問日 | : | 平成30年 2月 8日(平成30年(独情)諮問第7号) |
答申日 | : | 平成30年 7月11日(平成30年度(独情)答申第12号) |
事件名 | : | 特定期間に開催された特定学部教授会の議事録等の一部開示決定に関する件 |
第1 | 審査会の結論 |
下記の2文書(以下,併せて「本件対象文書」という。)につき,文書1の一部を不開示とした決定については,審査請求人が開示すべきとし,諮問庁がなお不開示とすべきとしている部分のうち,別表の4欄に掲げる部分を開示すべきであり,文書2を法人文書に該当しないとして不開示とした決定については,これにつき改めて開示決定等をすべきである。
文書1 平成29年4月から同年9月までに行われた「教授会」,「教授会代議員会」及び「教授会代議員会(教授)」の議事録並びに同会議資料
文書2 平成29年4月から同年9月までに行われた「教授会」,「教授会代議員会」及び「教授会代議員会(教授)」の音声記録
第2 | 審査請求人の主張の要旨 |
1 審査請求の趣旨
独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく開示請求に対し,平成29年10月16日付け長技大総第158号により,国立大学法人長岡技術科学大学(以下「長岡技術科学大学」,「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った一部開示決定(以下「原処分」という。)を取り消し,学生の学籍番号及び氏名並びに着任前の教員の氏名を除く部分(別表の1欄に掲げる部分(以下「不開示部分1」ないし「不開示部分10」といい,併せて「本件不開示部分」という。))についての開示を求める。
2 審査請求の理由
審査請求人が主張する審査請求の理由は,審査請求書の記載によると,おおむね以下のとおりである。
(1)指導教員の資格認定,大学院学生の指導教員等に係る会議資料について
まず,学生に関する情報について,学生の学籍番号及び氏名を除く部分についても多くの非公開部分があるが,専攻課程等を含むその全てが公開されたとしても,特定の個人が識別され又は識別され得るとはいえず,理由がない。
また,審査請求人としては,特定の個人が識別され又は識別され得るとされている部分の情報について黒塗りとなり非公開であるため,その内容について知る由がなく,その個人識別性の程度についての立証は不可能である。しかし,公開可能な部分が相当部分存在することが推定される。諮問庁及び情報公開・個人情報保護審査会において,公開が可能な部分と(仮に存在するならば)公開が不可能な部分とに緻密に区分し,公開可能な部分については,非公開決定は取り消されるべきである。
一方,学生に関する情報以外の部分については,長岡技術科学大学の職員がその職務の遂行として行った教育指導等に係る情報であり,法5条1号ハに該当するため,非公開とするのは違法である。
(2)入学者選抜試験の選考,卒業・修了認定,単位認定,論文審査候補者略歴等に係る会議資料について
これについても,上記(1)で述べた理由が該当するため,これを引用する。
なお,論文審査については,学位授与後,その論文の趣旨及び審査委員等は公開されるのが慣行であり,法5条1号イにも該当する。
(3)教員選考,名誉教授の選考等に係る会議資料について
教員の選考について,その被選考者の氏名を除く部分についても多くの非公開部分があるが,それが公開されたとしても,特定の個人が識別され得るとはいえず,理由がない。
審査請求人としては,特定の個人が識別され又は識別され得るとされている部分の情報について,黒塗りとなり非公開であるため,その内容について知る由がなく,その個人識別性の程度についての立証は不可能である。しかし,公開可能な部分が相当部分存在することが推定される。諮問庁及び情報公開・個人情報保護審査会において,公開が可能な部分と(仮に存在するならば)公開が不可能な部分とに緻密に区分し,公開可能な部分については,非公開決定は取り消されるべきである。
一方,名誉教授の選考については,名誉教授の就任は,長岡技術科学大学の職員がその職務の遂行として行ったことに係る情報であり,法5条1号ハに該当するため,非公開とするのは違法である。
また,法5条3号及び4号の該当性については,仮に公開となったとしても,それにより,同条3号及び4号の規定するおそれはなく,特に,現に決定した教員人事については,その過程も含め検証を行うべき公益性を有するのであるから,法7条によっても,開示決定されるべきである。
(4)議事録の不開示部分について
かかる不開示部分についての,審査請求理由は,前述の各資料における審査請求理由と同一であるため,これを引用する。
(5)音声記録について
本件処分において,処分庁は,「平成29年4月から9月までに行われた「教授会」,「教授会代議員会」及び「教授会代議員会(教授)」の音声記録は,法人文書として存在しない」として,これらについて非公開と決定した。
音声記録に関する不開示決定の理由が,音声記録の物理的不存在を理由とするものなのか,あるいは音声記録は物理的には存在するものの,その法人文書性を否定するものなのか,本件処分からは判然としない。そのため,以下,その2つの理由に即し,それぞれ,審査請求の理由を述べる。
ア 物理的不存在を理由とすることについて
まず,仮に,音声記録の物理的不存在を理由とする非公開決定であるとした場合,本件請求時点において,実際に,その音声記録が全て消去されているとは到底考えられず,また,法人職員のパソコン,ICレコーダーを真摯に調査探索し,残存するデータの取得を行ったとも考えられず,処分庁の開示請求文書の探索が不十分であったという瑕疵があり,いずれにしても,その決定は違法である。
本件開示請求は平成29年9月15日付けで行われており,本件開示請求の対象となった平成29年度第6回教授会の開催日時は同月13日である。それも,13日の午後の開催である。同月13日に行われた会議の議事概要が,同月15日の本件開示請求までに作成され,かつその音声記録の完全消去も行われたとするのは極めて不自然,不合理である。もし,それまでに音声記録を消去したとの処分庁の主張が正しいとすれば,実質わずか1日で議事概要を作成し,おそらくはその議事概要を稟議に付し,その議事概要を確定させ,そしてその音声データの消去もそれが復元不可能なほどに行ったということになり,この作成者の議事録作成能力,そして,処分庁の稟議の速さについては,我が国のみならず,全世界の賞賛の嵐を巻き起こすであろう「奇跡」である。また,本件開示請求により開示された議事概要によれば,教授会においては前回の教授会の議事要旨を確認することが毎回議事として諮られており,この議決があるまでは少なくとも議事概要の修正が行われる可能性が高く,それ以前の段階において,その音声記録を消去するとするのは,極めて不自然,不合理である。
なお,万一,処分庁が,本件開示請求以後に本件開示請求を認識しつつ,音声記録を消去したとすれば,情報公開請求制度の趣旨に反する行為であり,強い非難は免れない。
また,議事概要作成後に,その音声記録を消去することが原則であったとしても,本件請求時点において,本件請求の対象となる音声記録の全てが実際に消去されているとは到底考えられない。議事概要が作成されたとしても,直ちに,その録音記録を消去する取扱いになっているとは到底考えられず,実際には,これが存在している可能性は極めて高い。
以上のとおり,物理的不存在を理由とするのは,不可解かつ不合理な主張であり,その決定の取り消しは免れない。
イ 法人文書性の否定を理由とすることについて
開示請求文書の特定の過程において,処分庁は審査請求人に対し,平成29年9月29日付けで「法人文書開示請求書の修正について(依頼)」と題する書面を交付している。これによれば,「音声記録につきましては,担当職員が議事録を作成するに当たって,個人的なメモとして録音し,議事録作成後にデータは全て破棄(消去)されているため,請求されている音声記録はございませんので申し添えます。」とある。
これによれば,処分庁は,音声記録について,「担当職員が議事録を作成するに当たって,個人的なメモとして録音」しているものと認識していることがうかがわれ,それが,法人文書性を否定する根拠となっていると推定される。
しかしながら,音声記録が,「大学事務局の職員が職務上その作成を義務付けられている「教授会記録」を取りまとめる際の補助手段として取得されるものである以上,大学事務局の職員が職務上取得し,組織的に用いるため処分庁が保有し得ているものと認められることから,録音データについての法人文書該当性が認められる」ことは明らかである。
したがって,音声記録を個人的なメモとする処分庁の主張には理由がなく,その決定の取り消しは免れない。
第3 | 諮問庁の説明の要旨 |
審査請求人は,学生の学籍番号,氏名及び着任前の教員の氏名に関する部分を除く非公開部分についての非公開決定の取り消し,当該部分について公開決定することを求めている。これに対し,本学は,原処分を妥当と判断し,諮問をするものである。
なお,原処分を妥当と判断した理由は次のとおりである。
1 指導教員の資格認定に係る会議資料について
当該資料には,本学職員の個人に関する情報が記述されており,特定の個人を識別することができる情報であるため,法5条1号に該当する。また,慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ではないため,同号ただし書イに該当しない。同様に同号ただし書ロにも該当しない。審査請求人は本学職員がその職務の遂行として行った教育指導等に係る情報であると主張するが,当該資料が意図する部分は大学が本学職員に指導教員の認定を行うことであり,当該職員が職務の遂行として教育指導を行ったことに関する内容ではなく,同号ただし書ハにも該当しない。
当該資料には取得学位,略歴及び研究業績といった一体として特定の個人を識別することが可能となる記述があることから,追加で部分開示をすることはできない。
2 大学院学生の指導教員等に係る会議資料について
当該資料には,本学学生の個人に関する情報が記述されており,特定の個人を識別することができる情報のため,法5条1号に該当し,不開示とする。また,慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ではないため,同号ただし書イに該当しない。同様に同号ただし書ロにも該当しない。審査請求人は指導教員について本学職員がその職務の遂行として行った教育指導等に係る情報であると主張するが,当該資料における指導教員の情報は,特定の学生に付随する一つの情報として記述したものであり,本学の教員の職務遂行に関して記述した情報ではない。よって同号ただし書ハにも該当しない。
当該資料における記述は一部を開示した場合に,当該個人の知人,大学関係者等の一定の範囲の者にとってはその個人の特定が可能となる情報になるため,追加で部分開示をすることはできない。
3 入学者選抜試験等の選考に係る会議資料について
当該資料には,入学選抜試験等における総得点,専攻内順位等の個人に関する情報が記述されており,公にすることで個人の権利利益を害するおそれがあるほか,一部の資料については,特定の個人の学歴や略歴等の記述があり,特定の個人を識別することができる情報も含むため,法5条1号に該当し,不開示とする。また,慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ではないため,同号ただし書イに該当しない。同様に同号ただし書ロ及びハにも該当しない。
当該資料の情報は一部を開示することで個人の権利利益を害するおそれがある情報であり,又は一体として特定の個人を識別することが可能である情報であることから,追加で部分開示することはできない。
4 卒業・修了認定及び学位授与論文等の審査委員候補者に係る会議資料について
当該資料は学生の学位授与審査の結果や当該審査委員の名簿,新規に審査委員となる者の略歴が記述された資料であり,いずれも個人に関する情報が記述された内容となり,法5条1号に該当する。課程博士及び論文博士の学位授与者並びに審査委員の情報については慣行として公にされる情報であり,同号ただし書イに該当するため部分開示としている。
ただし,次の表に掲げる資料の全部又は一部については慣例として公にされ,又は公にすることが予定されていない情報であり,開示することはできない。
該当資料 |
理由 |
部分開示の可否 |
「学部卒業認定資料」 |
慣例として公にされない情報であるため。 |
一体として個人に関する情報であるため部分開示できない。 |
「課程博士及び論文博士の学位授与審査の結果について」の一部の記述 |
慣例として公にされない情報が一部含まれるため。 |
特定個人が識別できる部分(氏名)を開示している以上,部分開示をする余地はない。 |
「審査委員候補者名簿」のうち修士課程に係る記述 |
慣例として公にされない情報であるため。 |
一体として個人に関する情報であるため部分開示できない。 |
「審査委員候補者名簿」のうち課程博士に係る記述の一部 |
慣例として公にされない情報が一部含まれるため。 |
個人の権利利益が害されるおそれがあるため,部分開示できない。 |
審査委員候補者名簿略歴書様式の氏名以外の部分 |
審査委員の氏名は公にしているが,氏名以外の部分については慣例として公にしていないため。 |
特定個人が識別できる部分(氏名)を開示している以上,部分開示をする余地はない。 |
5 単位認定に係る会議資料について
当該資料は学生の単位認定に関する資料であり,いずれも個人に関する情報が記述されている内容であり,法5条1号に該当する。当該内容は,慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ではないため,同号ただし書イに該当しない。同様に同号ただし書ロ及びハにも該当しない。
また,一体として個人に関する情報であるため,追加で部分開示することはできない。
6 教員選考及び名誉教授の選考等に係る会議資料について
当該資料は本学における教員の選考に関する資料であり,次に掲げる資料が該当する。それぞれについて原処分を維持する理由を述べる。
(1)教員の採用に係る申請書
当該資料には氏名,退職者の氏名及び印影といった個人に関する情報が記述されており,法5条1号に該当する。当該申請書の情報は,慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ではなく,同号ただし書イに該当しない。
また,法5条1号ただし書ロ及びハにも該当しない。また,申請書における「後任補充の場合の前任・後任の関係」においては,採用理由が記述され,加えて,「募集の方法」については,公募以外の方法による場合,具体的な採用方法について記述されることとなるため,人事管理の構想に関する情報が公となり,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれのあるものになるため,同条4号へに該当する。当該情報を部分的に開示することで本学が慣行として公にしている情報と照合することで他の資料において不開示としている特定個人を識別することが可能となるため,追加で部分開示することもできない。また,一部の資料は審議・検討中である情報が含まれており,公にすることにより率直な意見の交換若しくは決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため,同条3号に該当する。
(2)教員選考委員会設置依頼書
上記(1)と同様の理由(法5条1号)で不開示とする。当該依頼書の情報は,慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ではなく,同号ただし書イに該当しない。また,同号ただし書ロ及びハにも該当しない。上記(1)にて前述した内容が含まれており,同様の理由により,人事管理の構想に関する情報が公となるおそれがある外,委員候補者名簿の情報を公開することで,当該委員が中傷や圧力,誤解等を受けるおそれがあり,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれのあるものに該当するため,法5条4号へに該当する。
当該情報を部分的に開示することで本学が慣行として公にしている情報と照合することで他の資料において不開示としている記述が判別できるようになり,特定個人を識別することが可能となるため,追加で部分開示をすることはできない。
(3)教員選考委員会委員の交代
当該資料には個人に関する情報が記述されているため,法5条1号に該当する。当該情報は,慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ではなく,同号ただし書イに該当しない。また,同号ただし書ロ及びハにも該当しない。加えて,同委員会委員の情報を公開することで,当該委員が中傷や圧力,誤解等を受けるおそれがあり,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれのあるものに該当するため,同条4号へに該当する。
当該情報を部分的に開示することで本学が慣行として公にしている情報と照合することで他の資料において不開示としている記述が判別できるようになり,特定個人を識別することが可能となるため,追加で部分開示することはできない。
(4)教員選定過程報告書
当該資料には氏名及び印影といった個人に関する情報が記述されており,法5条1号に該当する。当該情報は,慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ではなく,同号ただし書イに該当しない。同号ただし書ロ及びハにも該当しない。また,上記(1)にて前述した内容が含まれており,同様の理由により,人事管理の構想に関する情報が公となるおそれがある外,選考結果の概要の情報が記述されており,これを公にすると,今後の選考において,応募者が選考において基準となるポイントや一次選考で合格となった人数を把握の上,選考に臨むことができることとなることで,適正な選考審査ができなくなるおそれがあり,本学の人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるため,同条4号へに該当する。
(5)履歴書,推薦理由書及び教育研究業績の概要
当該資料には,人事選考された個人の履歴,業績といった個人に関する情報が記述されており,法5条1号に該当する。当該情報は,慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ではなく,同号ただし書イに該当しない。また,同号ただし書ロ及びハにも該当しない。加えて,推薦理由書を公開することで採用に関する基準であると誤解等を招く可能性があり,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれのあるものとなるため,同条4号へに該当する。
当該情報は一体として個人に関する情報であるため,追加で部分開示をすることはできない。
(6)任期付き教員再任希望申出書,教育研究業績書,再任審査委員会候補者名簿及び再任審査結果報告書
当該資料には,任期付き教員が再任希望の申出に対する審査に関する情報が記述されており,申出した者の個人に関する情報が記述されており法5条1号に該当する。当該情報は,慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ではなく,同号ただし書イに該当しない。また,同号ただし書ロ及びハにも該当しない。また,再任審査委員会委員の情報を公開することで,当該委員が中傷や圧力,誤解等をうけるおそれがあるため,同条4号へに該当する。
当該情報は一体として個人に関する情報であるため,追加で部分開示をすることはできない。
(7)非常勤講師,客員教授等調書,推薦理由書及び教育研究業績書
当該資料には,人事選考された個人の履歴,業績といった個人に関する情報が記述されており,法5条1号に該当する。当該情報は,慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ではなく,同号ただし書イに該当しない。また,同号ただし書ロ及びハにも該当しない。加えて,推薦理由書を公開することで採用に関する基準に関して応募者に誤解等を招く可能性があり,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれのあるものに該当するため,同条4号へに該当する。
当該情報は一体として個人に関する情報であるため,追加で部分開示することはできない。
(8)名誉教授候補者一覧,選考調書及び推薦理由書
当該資料には,名誉教授の候補者となった個人の氏名,経歴及び推薦理由といった個人に関する情報が記述されており,法5条1号に該当する。当該情報は,慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ではないため,同号ただし書イに該当しない。また,同号ただし書ロにも該当しない。
また,審査請求人は名誉教授の就任は本学の職員がその職務の遂行として行ったことに係る情報であり,法5条1号ただし書ハに該当すると主張するが,当該資料においては職員が名誉教授の候補者として推薦されるという職務に関する情報であって,名誉教授の候補者となった職員の職務の遂行に関する情報ではないため,同号ただし書ハに該当しない。
当該情報は一体として個人に関する情報であるため,追加で部分開示をすることはできない。
7 議事録の不開示部分について
当該資料で不開示とした部分には,教員選考を実施した特定の組織名及び氏名が記入されており,個人に関する情報が記述されているため,法5条1号に該当する。特定の組織が教員選考を実施したという情報は,慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ではないため,同号ただし書イに該当しない。また,同号ただし書ロにも該当しない。同号ただし書ハも該当しない。加えて,不開示部分を明らかにすることで,他の資料において不開示としている部分が,識別できるようになり,人事管理の構想に関する情報が公となり,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれのあるものになるため,同条4号へに該当する。
また当該情報を部分開示することは,本学が慣行として公にしている情報と照合することで他の対象資料において不開示としている特定個人を識別することが可能となるため,追加で部分開示することはできない。
8 音声記録について
本学における法人文書の定義は国立大学法人長岡技術科学大学法人文書管理規則2条1項に定めており,「本学の職員が職務上作成し,又は取得した文書(図画及び電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。)であって,本学の職員が組織的に用いるものとして,本学が保有しているものをいう。」としている。
本件対象文書については,本学の職員が議事録作成のために,参考資料として録音した文書であり,職務上作成したことは認められるが,あくまで個人的なメモとして保存したものであり,組織的に用いているものではない。以上のことから,本件対象文書は法人文書に該当しないため,原処分を維持するものとする。
第4 | 調査審議の経過 |
当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
① 平成30年2月8日 諮問の受理
② 同日 諮問庁から理由説明書を収受
③ 同月27日 審議
④ 同年5月21日 本件対象文書の見分及び審議
⑤ 同年7月9日 審議
第5 | 審査会の判断の理由 |
1 本件開示請求について
本件開示請求は,本件対象文書の開示を求めるものであり,処分庁は,文書1についてはその一部を法5条1号,3号及び4号ヘに該当するとして,文書2については法人文書に該当しないとして,不開示とする決定(原処分)を行った。
これに対して,審査請求人は,文書1は本件不開示部分の開示を求めるとともに,文書2は法人文書に該当するとして原処分の取消しを求めているところ,諮問庁は,別表の3欄に掲げる部分を新たに開示するとしているが,その余の部分(以下「不開示維持部分」という。)はなお不開示を維持すべきとしていることから,以下,本件対象文書の見分結果を踏まえ,不開示維持部分の不開示情報該当性及び文書2の法人文書該当性について検討する。
2 不開示維持部分の不開示情報該当性について
(1)不開示部分1について
ア 当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,不開示理由等について,改めて確認させたところ,諮問庁は,おおむね以下のとおり説明する。
当該部分は,本学の教員を博士後期課程の指導教員として認定するための情報であり,当該情報は,本学において公表していない。
イ 以下,上記諮問庁の説明も踏まえ検討する。
(ア)当該部分は,博士後期課程の指導教員候補者に係る情報であり,当該候補者の氏名,職名,所属の専攻名,資格発生日(承認日),生年月日,職歴及び研究業績等の記載が認められる。
(イ)当該部分は,一体として当該教員に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められ,また,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。
次に,法6条2項による部分開示の検討を行うと,教員の氏名,職名,所属の専攻名,生年月日及び職歴は,一体として個人識別部分であることから部分開示の余地はなく,研究業績等は,長岡技術科学大学関係者等一定範囲の者には,当該教員の特定が可能となることは否定し難く,他人に知られたくない指導教員の認定に係る審議情報が明らかとなって,当該教員の権利利益を害するおそれがないとは認められないので,部分開示はできない。しかしながら,その余の部分である資格発生日(承認日)は,既に開示されている部分から推定することが可能であるから,公にしても,個人の権利利益が害されるおそれがないと認められ,同項に基づき,部分開示すべきである。
したがって,当該不開示部分のうち資格発生日(承認日)部分は,法5条1号に該当せず,開示すべきであるが,その余の部分は同号に該当し,不開示とすることが妥当である。
(2)不開示部分2について
ア 当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,不開示理由等について,改めて確認させたところ,諮問庁は,おおむね以下のとおり説明する。
当該部分は,本学の教員を修士課程の指導教員として認定するための情報及び研究指導の委託の審査に係る情報である。不開示部分には,指導教員候補者の氏名・職名が指導を受ける学生の氏名等とともに記載されており,そのうち教員については,①修士課程の指導教員候補者の氏名・職名,②既に指導教員として認定されている教員の氏名・職名及び③学生の研究指導を委託する学外の者の氏名・職名等が記載されている。
なお,当該教員及び学生の氏名は本学において公表していない。
イ 以下,上記諮問庁の説明も踏まえ検討する。
(ア)当該不開示部分には,指導教員候補者の氏名・職名の記載が認められる。
また,審査請求人が開示を求めていない不開示部分として,学生の氏名及び学籍番号の記載が認められる。
(イ)上記①は,法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められ,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。また,上記①は,個人識別部分であり,法6条2項による部分開示の余地もない。
したがって,上記①は法5条1号に該当し,不開示とすることが妥当である。
(ウ)上記②は,既に指導教員として認定されている教員の氏名・職名であり,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められるが,当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,当該教員の公表慣行について,改めて確認させたところ,当該教員は,既に指導教員として認定されている教員の氏名・職名であり,公表慣行がある職員に該当するとのことであるので,上記②は法5条1号ただし書イに該当する。
したがって,上記②は法5条1号に該当せず,開示すべきである。
(エ)上記③は,(ⅰ)学生の研究指導の委託候補者である学外の者の氏名・職名,委託先の組織名及び委託期間並びに(ⅱ)学生の生年月日,所属,長岡技術科学大学の指導教員の氏名・職名及び研究題目が学生の氏名とともに記載されている。また,委託の必要性の内容部分について,既に開示されていることが認められる。
a 上記(ⅰ)は,一体として当該学外の者に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められ,また,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。次に,法6条2項による部分開示の検討を行うと,当該学外の者の氏名・職名は,一体として個人識別部分であることから部分開示の余地はなく,その余の部分である委託先の組織名及び委託期間は,当該学外の者の所属する機関の関係者及び知人といった一定範囲の者には,当該学外の者の特定が可能となることは否定し難く,長岡技術科学大学学生の研究指導の委託候補者であるという審議情報が明らかとなって,当該学外の者の権利利益を害するおそれがないとは認められない。
したがって,上記③の(ⅰ)は法5条1号に該当し,不開示とすることが妥当である。
b 上記(ⅱ)は,一体として当該学生に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められ,また,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。
次に,法6条2項による部分開示の検討を行うと,学生の生年月日及び所属は,一体として個人識別部分であることから部分開示の余地はなく,その余の部分である学生の長岡技術科学大学の指導教員の氏名・職名及び研究題目は,学生の友人や知人といった一定範囲の者には,学生の特定が可能となることは否定し難く,既に開示されている委託の必要性など当該学生の教育内容が明らかとなって,当該学生の権利利益を害するおそれがないとは認められないので,部分開示できない。
したがって,上記③の(ⅱ)は法5条1号に該当し,不開示とすることが妥当である。
(3)不開示部分3について
ア 当該部分は,入学者選抜試験における専攻・課程ごとの受験生の氏名,得点及び専攻内順位等であることが認められる。
また,受験生の受験番号は開示されていることが認められる。
イ 当該不開示部分は,受験生の氏名とともに記載されていることから,一体として当該受験生に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められ,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。また,受験生の氏名は,個人識別部分であるから法6条2項の部分開示の余地はなく,その余の得点等の部分についても,これを公にすると,誰の得点等であるか特定できる可能性があり,当該受験生の権利利益を害するおそれがないとは認められないので,部分開示できない。
したがって,当該不開示部分は法5条1号に該当し,不開示とすることが妥当である。
(4)不開示部分4について
ア 当該部分は,①学生の卒業認定及び修了認定に係る情報並びに②学生の学位授与論文等の審査に係る情報であることが認められる。
イ 上記①について
(ア)当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,不開示理由等について,改めて確認させたところ,諮問庁は,おおむね以下のとおり説明する。
当該不開示部分は,学部,修士課程及び博士後期課程の学生の氏名,修得単位数及び不足単位数等である。これらの情報は本学において公表していないが,博士後期課程の学位授与者は,原則,本学において氏名等を公表していることから,当該学位授与者である学生の氏名等は開示している。
(イ)以下,上記諮問庁の説明も踏まえ検討する。
a 上記①には,学部,修士課程及び博士後期課程の学生の卒業(修了)認定に係る情報が記載されており,審査請求人が開示を求めていない学生の氏名及び学籍番号とともに,(a)学部及び修士課程の学生の修得単位数,不足単位数及び入学時期等,(b)博士後期課程の学生の修得単位数,不足単位数及び入学時期等並びに(c)論文博士申請者の生年月日,現職及び最終学歴等が記載されていることが認められる。
b 上記(a)は,学生の氏名とともに記載されていることから,一体として当該学生に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められ,また,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。
次に,法6条2項による部分開示の検討を行うと,学生の修得単位数,不足単位数及び入学時期等は,学生の友人や知人といった一定範囲の者には,学生の特定が可能となることは否定し難く,他人に知られたくない当該学生の卒業(修了)認定に係る情報の内容が明らかとなって,当該学生の権利利益を害するおそれがないとは認められないので,部分開示できない。
したがって,上記①の(a)は法5条1号に該当し,不開示とすることが妥当である。
c 上記(b)は,(ⅰ)学生の氏名が開示されている部分と(ⅱ)学生の氏名が不開示にされている部分があり,それぞれ,学生の氏名とともに記載されていることから,学生ごとに一体として当該学生に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められ,また,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。
次に,法6条2項による部分開示の検討を行うと,上記(ⅰ)は,既に個人識別部分である学生の氏名が開示されていることから,部分開示の余地はなく,上記(ⅱ)は,学生の修得単位数,不足単位数及び入学時期等のいずれかを公にした場合,学生の友人や知人といった一定範囲の者には,学生の特定が可能となることは否定し難く,他人に知られたくない当該学生の修了認定に係る情報の内容が明らかとなって,当該学生の権利利益を害するおそれがないとは認められないので,部分開示できない。
したがって,上記①の(b)は法5条1号に該当し,不開示とすることが妥当である。
d 上記(c)は,申請者の氏名が開示されており,一体として申請者に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められる。そこで,当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,当該申請者に係る不開示部分の公表慣行について,改めて確認させたところ,当該申請者に係る不開示部分は公表慣行がない旨説明する。
そうすると,上記①の(c)は,公表慣行があるとは認められないので,法5条1号ただし書イに該当せず,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められず,既に個人識別部分である申請者の氏名が開示されていることから,部分開示の余地もないので,同号に該当し,不開示とすることが妥当である。
ウ 上記②について
(ア)当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,不開示理由等について,改めて確認させたところ,諮問庁は,おおむね以下のとおり説明する。
a 上記②は,学生の学位論文を審査するための情報であり,学生の修得単位数,在学期間及び論文審査結果の概要並びに学生の学位論文を審査する審査委員候補者(学内・学外審査委員)に係る部分が不開示となっており,当該不開示部分は,本学において公表していない。
b 原処分時点において,博士課程の学位を授与された学生の氏名及び当該審査を行った審査委員(学内・学外審査委員)の氏名等は,原則,公表しているので,当該公表部分と同様の部分は開示しているところである。
c 本学において初めて学生の学位論文審査を行う学外審査委員については,審議資料として略歴があり,当該略歴の内容を不開示としている。
d なお,改めて上記②の記載内容を確認したところ,平成29年度第3回教授会の審査委員候補者名簿(平成29年8月修了予定者)の3枚目の下から3人目の不開示部分については,原処分時点において公表されている情報であるにもかかわらず誤って黒塗りされている部分であり,当該部分については改めて開示の実施を行う。
(イ)以下,上記諮問庁の説明も踏まえ検討する。
a 上記②は,(a)学生の修得単位数,在学期間及び論文審査結果の概要等,(b)学生の専攻名及び論文題目等,(c)学生の論文を審査する学内・学外審査委員の氏名・職名並びに(d)学外審査委員候補者の生年月日,現住所,学位,専攻分野,学歴・職歴及び主たる研究業績の内容の記載が認められる。
また,審査請求人が開示を求めていない不開示部分として,学生の氏名等の記載が認められる。
b 上記(a)は,学生の氏名が開示されている部分と学生の氏名が不開示にされている部分があり,それぞれ,学生の氏名とともに記載されていることから,学生ごとに一体として法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められ,また,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。
次に,法6条2項による部分開示の検討を行うと,学生の氏名が開示されている部分は,既に個人識別部分である学生の氏名が開示されていることから,部分開示の余地はなく,学生の氏名が不開示にされている部分は,学生の修得単位数,在学期間及び論文審査結果の概要等のいずれかを公にした場合,学生の知人や友人といった一定範囲の者には,学生の特定が可能となることは否定し難く,他人に知られたくない当該学生の学位授与審査の内容が明らかとなって,当該学生の権利利益を害するおそれがないとは認められないので,部分開示できない。
したがって,上記②の(a)は法5条1号に該当し,不開示とすることが妥当である。
c 上記(b)は,学生の氏名等が開示されている部分と学生の氏名等が不開示にされている部分があり,それぞれ,学生の氏名とともに記載されていることから,学生ごとに一体として法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められ,また,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。
次に,法6条2項による部分開示の検討を行うと,学生の氏名等が開示されている部分は,既に個人識別部分である学生の氏名が開示されていることから,部分開示の余地はなく,学生の氏名等が不開示にされている部分は,学生の専攻名は,一体として個人識別部分であることから部分開示の余地はなく,また,その余の部分である学生の論文題目等は,学生の知人や友人といった一定範囲の者には,学生の特定が可能となることは否定し難く,他人に知られたくない当該学生の学位授与審査の内容が明らかとなって,当該個人の権利利益を害するおそれがないとは認められないので,部分開示できない。
したがって,上記②の(b)は法5条1号に該当し,不開示とすることが妥当である。
d 上記(c)は,学内・学外審査委員に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められるが,当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,当該学内・学外審査委員の公表慣行について,改めて確認させたところ,学内審査委員の氏名・職名は公表慣行があるものの,学外審査委員の氏名・職名は公表慣行がないとのことである。
そうすると,学内審査委員の氏名・職名は,長岡技術科学大学において公表慣行があると認められるので,法5条1号ただし書イに該当し,学外審査委員の氏名・職名は長岡技術科学大学において公表慣行があるとは認められないので,同号ただし書イに該当せず,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められず,また,当該部分は,個人識別部分であり,法6条2項による部分開示の余地もない。
したがって,上記②の(c)のうち学内審査委員の氏名・職名は,法5条1号に該当せず,開示すべきであるが,学外審査委員の氏名・職名は同号に該当し,不開示とすることが妥当である。
e 上記(d)は,(ⅰ)学外審査委員の氏名が不開示にされている部分と(ⅱ)学外審査委員の氏名が開示されている部分があり,それぞれ,学外審査委員の氏名とともに記載されていることから,学外審査委員ごとに一体として法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められる。
上記(ⅰ)について検討すると,上記(ⅰ)は,法5条1号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。次に,法6条2項による部分開示の検討を行うと,生年月日,現住所及び学歴・職歴は,一体として個人識別部分であることから部分開示の余地はなく,学位,専攻分野及び主たる研究業績の内容等は,当該学外審査委員の所属する機関の関係者や知人といった一定範囲の者には,当該学外審査委員を特定することは否定し難く,当該学外審査委員が審査委員候補者であるという機微な情報が明らかとなって,当該学外審査委員の権利利益を害するおそれがないとは認められないので,部分開示できない。
したがって,上記②の(d)(ⅰ)は,法5条1号に該当し,不開示とすることが妥当である。
f 上記(ⅱ)について検討すると,上記(ⅱ)は,学外審査委員候補者の情報であるものの,原処分時点において氏名等が公表されているので,当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,当該学外審査委員に係る不開示部分の公表慣行について,改めて確認させたところ,平成29年度第1回教授会代議員会の審査委員候補者名簿の左側の者に係る専攻分野及び主たる研究業績部分,同名簿の右側の者に係る学位(取得月を除く。),専攻分野,学歴・職歴(月を除く。)及び主たる研究業績部分,平成29年度第3回教授会の審査委員候補者名簿2枚目の左側の者に係る生年月日及び現住所を除く全ての部分,同名簿2枚目の右側の者に係る現住所及び学歴・職歴欄の上から1行目を除く全ての部分,同名簿3枚目の左側の者に係る生年月日,現住所及び学位の取得年月を除く全ての部分,同名簿3枚目の右側の者に係る学歴・職歴欄の下から2行目及び3行目(年月を除く。)部分,同名簿4枚目の右側の者に係る生年月日(月日を除く。),学位(取得年月を除く。),専攻分野,学歴・職歴欄の上から7行目(年月を除く。),8行目(月を除く。),10行目(月を除く。),11行目(月を除く。),12行目(月を除く。)及び主たる研究業績部分,同名簿5枚目の者に係る生年月日(日を除く。),学位,専攻分野,学歴・職歴欄の上から1行目,7行目ないし10行目,11行目(年月を除く。)及び主たる研究業績部分,平成29年度第4回教授会代議員会の審査委員候補者名簿1枚目の者に係る学位(取得年月を除く。),専攻分野,学歴・職歴欄の上から2行目(月及び研究科・課程の名称を除く。),3行目,4行目(月を除く。),5行目(月を除く。),6行目(月を除く。),7行目(月を除く。),8行目ないし11行目及び主たる研究業績部分並びに同名簿の2枚目の者に係る現住所を除く全ての部分については公表慣行のある情報であり,これらの情報を除く部分については,公表慣行はないとのことである。
そうすると,諮問庁が上記により公表慣行があると説明する部分は,法5条1号ただし書イに該当し,その余の部分は,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められず,既に個人識別部分である学外審査委員の氏名が開示されていることから,部分開示の余地もない。
したがって,上記②の(d)のうち諮問庁が上記により公表慣行があると説明する部分は,法5条1号に該当せず,開示すべきであるが,その余の部分は同号に該当し,不開示とすることが妥当である。
(5)不開示部分5について
ア 当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,不開示理由等について,改めて確認させたところ,諮問庁は,おおむね以下のとおり説明する。
当該部分は,学生が大学以外の教育施設等において学修した結果を本学における履修とみなして単位認定するための資料であり,当該不開示部分は個人に関する情報であり,本学において公表していない。
イ 以下,上記諮問庁の説明も踏まえ検討する。
(ア)当該部分には,学生の所属,学年,認定科目名,認定科目の成績等の記載が認められる。
また,審査請求人が開示を求めていない不開示部分として,学生の氏名及び学籍番号の記載が認められる。
(イ)当該部分は,学生の氏名とともに記載されていることから,一体として当該学生に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められ,また,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。
次に,法6条2項による部分開示の検討を行うと,学生の所属及び学年は,一体として個人識別部分であることから部分開示の余地はなく,認定科目名(英語に係る認定科目名部分を除く。)及び認定科目の成績等は,学生の友人や知人といった一定範囲の者には,学生の特定が可能となることは否定し難く,他人に知られたくない単位認定に係る情報が明らかとなって,当該学生の権利利益を害するおそれがないとは認められないので,部分開示できない。
しかしながら,英語に係る認定科目名部分については,開示されている内容等から推認できる内容が記載されているものにすぎず,個人を特定できるほどの詳細かつ具体的な情報が含まれているとは認められないことから,公にしても,個人の権利利益が害されるおそれがないと認められ,法6条2項に基づき,部分開示すべきである。
(ウ)したがって,英語に係る認定科目名部分は,法5条1号に該当せず,開示すべきであるが,その余の部分は同号に該当し,不開示とすることが妥当である。
(6)不開示部分6について
ア 当該部分には,①教員の採用に係る申請書,②教員選考委員会設置依頼書,③教員選考委員会委員の交代,④教員選定過程報告書,⑤履歴書,推薦理由書及び教育研究業績の概要,⑥任期付教員再任希望申出書,教育研究業績書,再任審査委員会候補者名簿及び再任審査結果報告書,⑦非常勤講師,客員教授等調書,推薦理由書及び教育研究業績書並びに⑧名誉教授候補者一覧,選考調書及び推薦理由書に関する情報が記載されていることが認められる。
イ 上記①及び②について
(ア)当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,不開示理由等について,改めて確認させたところ,諮問庁は,おおむね以下のとおり説明する。
上記①の教員の採用に関する申請書は,教員の採用等を要望する特定の組織の長が,学長に対し,教員の採用等の実施を要望するための文書である。
学長は,当該申請書を受け,教育研究評議会の議を経て,採用等の人事の実施の可否を決定することとなっている。
上記②の教員選考委員会設置依頼書は,採用等を要望する特定の組織の長が上記決定を踏まえ,学長に対し,教員選考委員会の設置を依頼するものである。
上記①及び②は,個人(教員)に関する情報及び人事管理上の情報等であり,公にした場合,当該人事管理情報等が外部に知られてしまい,長岡技術科学大学における教員の選考に係る業務に影響を及ぼすこととなり,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある。
なお,当該申請者の情報(当該申請者の印影含む。)は,本学において公表していない。
(イ)以下,上記諮問庁の説明も踏まえ検討する。
a 上記①及び②には,(a)特定の組織の長の氏名・職名及び印影,(b)教員採用予定の概要並びに(c)教員選考委員会委員候補者名簿が記載されていることが認められる。
b 上記(a)のうち特定の組織の長の印影部分は,法5条1号本文前段に規定する個人(教員)に関する情報であって,その固有の形状が,特定の個人を識別することができる情報として意味を有するものと認められる。そして,当該印影は,公にする慣行があるとまでは認められないため,同号ただし書イに該当せず,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も存しない。また,法6条2項による部分開示の検討をすると,当該印影は,特定の個人を識別することができる部分であることから,部分開示の余地はない。
一方,上記(a)のうち特定の組織の長の氏名・職名部分は,法5条1号本文前段の特定の個人(教員)を識別することができるものに該当すると認められる。そこで,当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,当該教員の公表慣行について,改めて確認させたところ,当該教員の氏名・職名は公表慣行があるとのことである。
そうすると,特定の組織の長の氏名・職名部分は長岡技術科学大学において公表慣行があるので,法5条1号ただし書イに該当する。また,当該部分は,特定の組織の長である教員が教員採用等の選考を実施したという情報にすぎないので,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ及び公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものとは認められない。
したがって,上記①及び②の(a)のうち特定の組織の長の印影部分は,法5条1号に該当し,同条3号及び4号ヘについて判断するまでもなく,不開示とすることが妥当であるが,特定の組織の長の氏名・職名部分は,同条1号,3号及び4号ヘのいずれにも該当せず,開示すべきである。
c 上記(b)は,(ⅰ)公募及び(ⅱ)人事交流等による教員の採用に係る概要部分であり,それぞれに採用予定職,採用後の所属,採用後の担当専攻等・講座(博士課程専攻名),採用予定年月日,後任補充の場合の前任・後任の関係,専門分野,職務内容,募集の方法,応募資格,応募書類及び選考方法の記載が認められる。
公募に係る後任補充の場合の前任・後任の関係部分及び人事交流等に係る全ての項目については,公となっていない人事管理上の情報であり,公にした場合,当該人事管理情報が外部に知られてしまい,長岡技術科学大学における教員の選考に係る業務に影響を及ぼすこととなり,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるとする諮問庁の説明は否定し難い。
しかしながら,公募の場合における後任補充の場合の前任・後任の関係部分を除く部分については,特定の個人を識別することができるもの及び特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるものに該当せず,また,人事管理上の情報等とまではいえない一般的な内容や実際に公募した公募要領と同様の内容にすぎないので,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ及び公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものとは認められない。
したがって,上記①及び②の(b)のうち公募に係る後任補充の場合の前任・後任の関係部分を除く部分は,法5条1号,3号及び4号ヘのいずれにも該当せず,開示すべきであるが,その余の部分は同号ヘに該当し,同条1号及び3号について判断するまでもなく,不開示とすることが妥当である。
d 上記(c)は,教員選考委員会委員の氏名・職名であり,いずれも法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができる情報であることが認められる。そこで,当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,当該部分の公表慣行について,改めて確認させたところ,長岡技術科学大学は,同委員会委員の氏名・職名は公表しておらず,また,同委員会の設置根拠となる国立大学法人長岡技術科学大学教員選考手続要領において,「教員選考委員会は,学長が教授会の意見を聴いて採用しようとする職ごとに(ⅰ)採用しようとする職の専攻等の教授3人,(ⅱ)当該専攻等以外の教授1人,(ⅲ)副学長1人をもって組織する」とされており,上記(ⅰ)ないし(ⅲ)により指名の可能性がある者は,それぞれ複数名いるため,いずれの者が委員に指名されるのか明らかとなっておらず,同委員会委員長についても,上記(ⅰ)ないし(ⅲ)により指名された委員の中から学長が指名することとなっているので,いずれの者が同委員会委員長に指名されるのか明らかとなっていない旨説明する。
当審査会において,諮問庁から,国立大学法人長岡技術科学大学教員選考手続要領の提示を受けて確認すると,上記諮問庁の説明のとおりであることが認められる。
そうすると,上記(c)は,国立大学法人長岡技術科学大学教員選考手続要領により委員の氏名・職名を特定することはできず,長岡技術科学大学において公表慣行があるとは認められないことから,法5条1号ただし書イに該当せず,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められない。また,当該部分は,個人識別部分であり,法6条2項による部分開示の余地もない。
したがって,上記①及び②の(c)は法5条1号に該当し,同条3号及び4号ヘについて判断するまでもなく,不開示とすることが妥当である。
ウ 上記③について
上記③は,(ⅰ)教員選考委員会委員の氏名・職名並びに(ⅱ)採用予定職及び採用予定年月日等である。
(ア)上記(ⅰ)は,上記イ(イ)dと同様の理由により,法5条1号に該当し,同条3号及び4号ヘについて判断するまでもなく,不開示とすることが妥当である。
(イ)しかしながら,上記(ⅱ)は,特定の個人を識別することができるもの及び特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるものに該当せず,また,人事管理上の情報等とまではいえない一般的な内容や実際に公募した公募要領と同様の内容にすぎないので,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ及び公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものとは認められない。
したがって,上記③の(ⅱ)は,法5条1号,3号及び4号ヘのいずれにも該当せず,開示すべきである。
エ 上記④について
(ア)当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,不開示理由等について,改めて確認させたところ,諮問庁は,おおむね以下のとおり説明する。
採用等を要望する特定の組織の長等は,教員選考委員会が採用候補者を選定した際に,学長に対し,教員選定過程報告書を提出することとなっている。
教員選定過程報告書は,個人(教員)に関する情報及び人事管理上の情報であり,公にした場合,当該人事管理情報が外部に知られてしまい,長岡技術科学大学における教員の選考に係る業務に影響を及ぼすこととなり,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある。
なお,当該申請者の情報(当該申請者の印影含む。)は,本学において公表していない。
(イ)以下,上記諮問庁の説明も踏まえ検討する。
a 上記④には,(a)特定の組織の長の氏名・職名及び印影,(b)募集の概要並びに(c)選考方法等が記載されていることが認められる。
b 上記④の(a)は,上記イ(イ)bと同様の理由により,特定の組織の長の印影部分は,法5条1号に該当し,同条3号及び4号ヘについて判断するまでもなく,不開示とすることが妥当であるが,特定の組織の長の氏名・職名部分は,同条1号,3号及び4号ヘのいずれにも該当せず,開示すべきである。
c 上記(b)は,(ⅰ)公募及び(ⅱ)人事交流等による教員の採用に係る概要部分であり,それぞれに採用予定職,採用後の所属,採用後の担当専攻等・講座(博士課程専攻名),採用予定年月日,後任補充の場合の前任・後任の関係,募集の方法及び募集の詳細の記載が認められ,上記イ(イ)cと同様の理由により,公募に係る後任補充の場合の前任・後任の関係部分を除く部分は,法5条1号,3号及び4号ヘのいずれにも該当せず,開示すべきであるが,その余の部分は,同号ヘに該当し,同条1号及び3号について判断するまでもなく,不開示とすることが妥当である。
d 上記(c)は,(ⅰ)公募及び(ⅱ)人事交流等による教員の選考方法等部分であり,それぞれに募集開始日,応募締切日,応募人数,一次選考(書類選考)期間,一次選考合格者,一次選考の概要,二次選考(面接等)実施日,教員選考委員会開催日及び最終選考の概要の記載が認められる。
公募に係る募集開始日及び応募締切日を除く部分並びに人事交流等に係る募集開始日,応募締切日及び応募人数を除く部分は,公となっていない人事管理上の情報であり,公にした場合,当該人事管理情報が外部に知られてしまい,教員の選考に係る業務に影響を及ぼすこととなり,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるとする諮問庁の説明は否定し難い。
しかしながら,公募に係る募集開始日及び応募締切日は,実際に公募した公募要領と同様の内容にすぎず,人事交流等に係る募集開始日,応募締切日及び応募人数は,その選考方法等から記載内容が推認できる部分であるので,特定の個人を識別することができるもの及び特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるものに該当せず,また,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ及び公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものとは認められない。
したがって,上記④の(c)のうち公募に係る募集開始日及び応募締切日並びに人事交流等に係る募集開始日,応募締切日及び応募人数部分は,法5条1号,3号及び4号ヘのいずれにも該当せず,開示すべきであるが,その余の部分は同号ヘに該当し,同条1号及び3号について判断するまでもなく,不開示とすることが妥当である。
オ 上記⑤及び⑦について
(ア)上記⑤及び⑦は,教員及び非常勤講師等を採用等するための選考資料である履歴書,推薦理由書,教育研究業績の概要等であり,個人の生年月日,現住所,学歴,職歴,推薦理由及び教育研究業績の内容等の記載が認められる。
また,審査請求人が開示を求めていない不開示部分として,着任前の個人の氏名の記載が認められる。
(イ)上記⑤及び⑦は,個人の氏名とともに記載されていることから,一体として当該個人に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができる情報であることが認められる。そこで,当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,当該部分の公表慣行について,改めて確認させたところ,長岡技術科学大学は,教員等の選考に係る履歴書,推薦理由書及び教育研究業績の概要等の内容は公表していない旨説明する。
そうすると,当該部分は,長岡技術科学大学において公表慣行があるとは認められないので,法5条1号ただし書イに該当せず,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められない。
次に法6条2項による部分開示の検討を行うと,個人の生年月日,現住所,学歴及び職歴は,一体として個人識別部分であることから部分開示の余地はなく,また,その余の部分である推薦理由及び教育研究業績の内容等は,公にすることにより,当該個人の友人や知人といった一定範囲の者には,当該個人の特定が可能となることは否定し難く,それらの者に当該個人が採用等のために選考中であるという機微な情報が明らかとなって,当該個人の権利利益を害するおそれがないとは認められないので,部分開示できない。
したがって,上記⑤及び⑦は法5条1号に該当し,同条4号ヘについて判断するまでもなく,不開示とすることが妥当である。
カ 上記⑥について
(ア)当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,不開示理由等について,改めて確認させたところ,諮問庁は,おおむね以下のとおり説明する。
任期付教員の再任の可否に係る審査情報であり,当該教員が再任審査されるという情報は本学において公表していない。
また,再任審査委員会委員の氏名に係る部分も,公表しておらず,再任審査委員会の設置根拠となる国立大学法人長岡技術科学大学教員の再任審査手続要領によると,「学長は,再任希望の申出があった際に,教授会の意見を聴いて,(ⅰ)再任希望教員の専攻等の教授3人,(ⅱ)(ⅰ)の専攻等以外の教授1人及び(ⅲ)副学長1人をもって構成」することとなっており,上記(ⅰ)ないし(ⅲ)により指名の可能性がある者は,それぞれ複数名在職しているため,いずれの者が委員に指名されるのか明らかとなっておらず,再任審査委員会委員長についても,上記(ⅰ)ないし(ⅲ)により指名された委員の中から学長が指名することとなっているので,いずれの者が委員長に指名されるのか明らかとなっていない。
(イ)以下,上記諮問庁の説明も踏まえ検討する。
a 上記⑥は,任期付教員の再任の可否についての選考資料である(ⅰ)任期付教員再任希望申出書,(ⅱ)教育研究業績書,(ⅲ)再任審査委員会候補者名簿及び再任審査の結果を学長に報告するための(ⅳ)再任審査結果報告書であり,(ⅰ)及び(ⅱ)には,任期付教員の氏名・職名・印影,現在の任期及び教育研究業績書等の記載があり,(ⅲ)には,任期付教員の氏名・職名,現在の任期,再任審査委員会委員長の氏名・印影及び同委員会委員の氏名・職名の記載があり,(ⅳ)には,再任審査委員会委員長の氏名・印影,任期付教員の氏名・職名,現在の任期,再任後の任期及び再任可否の理由等の記載が認められる。
b 任期付教員及び再任審査委員会委員長の印影部分は,法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,その固有の形状が,特定の個人を識別することができる情報として意味を有するものと認められる。そして,当該印影は,公にする慣行があるとまでは認められないため,同号ただし書イに該当せず,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も存しない。また,法6条2項による部分開示の検討をすると,当該印影は,特定の個人を識別することができる部分であることから,部分開示の余地はない。
したがって,上記⑥のうち任期付教員及び再任審査委員会委員長の印影部分は法5条1号に該当し,同条4号ヘについて判断するまでもなく,不開示とすることが妥当である。
c 任期付教員の氏名・職名,現在の任期,教育研究業績書,再任後の任期及び再任可否の理由等部分は,一体として当該任期付教員に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められ,また,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。
次に,法6条2項による部分開示の検討を行うと,任期付教員の氏名・職名は,一体として個人識別部分であることから部分開示の余地はなく,また,その余の部分である現在の任期及び教育研究業績書,再任後の任期及び再任可否の理由等部分は,長岡技術科学大学関係者及び当該任期付教員の知人といった一定範囲の者には,当該任期付教員の特定が可能となることは否定し難く,当該任期付教員に係る再任審査という機微な情報が明らかとなって,当該個人の権利利益を害するおそれがないとは認められない。
したがって,上記⑥のうち任期付教員の氏名・職名,現在の任期,教育研究業績書,再任後の任期及び再任可否の理由等部分は,法5条1号に該当し,同条4号ヘについて判断するまでもなく,不開示とすることが妥当である。
d 再任審査委員会委員長及び同委員会委員の氏名部分は,いずれも法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができる情報であることが認められる。そこで,当審査会において,諮問庁から,国立大学法人長岡技術科学大学教員再任審査手続要領の提示を受けて確認すると,上記(ア)の諮問庁の説明のとおりであることが認められる。
そうすると,再任審査委員会委員長及び同委員会委員の氏名部分は,国立大学法人長岡技術科学大学教員再任審査手続要領により委員の氏名を特定することはできず,長岡技術科学大学において公表慣行があるとは認められないことから,法5条1号ただし書イに該当せず,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められない。また,当該部分は,個人識別部分であり,法6条2項による部分開示の余地もない。
したがって,上記⑥のうち再任審査委員会委員長及び同委員会委員の氏名部分は法5条1号に該当し,同条4号ヘについて判断するまでもなく,不開示とすることが妥当である。
e しかしながら,再任審査委員会委員の職名部分は,既に開示されている情報と同一の情報であると認められるので,法5条1号ただし書イに該当すると認められ,また,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものとは認められない。
したがって,上記⑥のうち再任審査委員会委員の職名部分は法5条1号及び4号ヘのいずれにも該当せず,開示すべきである。
キ 上記⑧について
(ア)上記⑧は,名誉教授称号授与の審議のための情報であり,個人の氏名,在職時所属,退職年月日,勤務年数及び推薦理由等の記載が認められる。
(イ)上記⑧は,一体として法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができる情報であることが認められる。そこで,当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,当該部分の公表慣行について,改めて確認させたところ,長岡技術科学大学は,名誉教授称号授与の審議に係る情報は公表していない旨説明する。
そうすると,当該部分は,長岡技術科学大学において公表慣行があるとは認められないので,法5条1号ただし書イに該当せず,同号ただし書ロ及びハに該当する事情も認められない。
次に,法6条2項による部分開示の検討を行うと,個人の氏名及び在職時所属は,一体として個人識別部分であることから部分開示の余地はなく,また,その余の部分である退職年月日,勤務年数及び推薦理由等は,公にすることにより,当該個人の友人や知人といった一定範囲の者には,当該個人の特定が可能となることは否定し難く,それらの者に当該個人が名誉教授称号授与のための審議情報が明らかとなって,当該個人の権利利益を害するおそれがないとは認められないので,部分開示はできない。
したがって,当該部分は法5条1号に該当し,不開示とすることが妥当である。
(7)不開示部分7について
ア 当該部分は,他大学からの転入学者を選考するための情報であり,学生に係る転入学後の所属名,学歴,国籍,生年月日,既修得単位数,転入学後の認定単位数及び指導教員等の記載が認められる。
また,審査請求人が開示を求めていない不開示部分として,学生の氏名の記載が認められる。
イ 当該不開示部分は,学生の氏名とともに記載されていることから,一体として当該学生に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められ,また,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。
次に,法6条2項による部分開示の検討を行うと,学生の所属名,学歴,国籍及び生年月日は,一体として個人識別部分であることから部分開示の余地はなく,既修得単位数,転入学後の認定単位数及び指導教員等は,学生の友人や知人といった一定範囲の者には,学生の特定が可能となることは否定し難く,他人に知られたくない当該学生の転入学の選考に係る機微な情報が知られることとなって,当該学生の権利利益を害するおそれがないとは認められないので,部分開示できない。
したがって,当該不開示部分は法5条1号に該当し,不開示とすることが妥当である。
(8)不開示部分8について
ア 当該部分は,学生が所属する専攻を変更する転専攻の選考のための情報であり,学生の生年月日,転専攻前の所属名,既修得単位数,転専攻の理由,転専攻後の所属名,認定単位数及び指導教員等の記載が認められる。
また,審査請求人が開示を求めていない不開示部分として,学生の氏名及び学籍番号の記載が認められる。
イ 当該不開示部分は,学生の氏名とともに記載されていることから,一体として当該学生に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められ,また,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。
次に,法6条2項による部分開示の検討を行うと,学生の生年月日及び転専攻前の所属名は,一体として個人識別部分であることから部分開示の余地はなく,既修得単位数,転専攻の理由,転専攻後の所属名,認定単位数及び指導教員等は,学生の友人や知人といった一定範囲の者には,学生の特定が可能となることは否定し難く,他人に知られたくない当該学生の転入学に係る機微な情報が知られることとなって,当該学生の権利利益を害するおそれがないとは認められないので,部分開示できない。
したがって,当該不開示部分は法5条1号に該当し,不開示とすることが妥当である。
(9)不開示部分9について
ア 当該部分は,入学料未納者に係る情報であり,学生の所属,学年,入学料徴収猶予の内容及び未納額の記載が認められる。
また,審査請求人が開示を求めていない不開示部分として,学生の氏名及び学籍番号の記載が認められる。
イ 当該不開示部分は,学生の氏名とともに記載されていることから,一体として当該学生に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに該当すると認められ,また,同号ただし書イないしハに該当する事情も認められない。
次に,法6条2項による部分開示の検討を行うと,学生の所属及び学年は,一体として個人識別部分であることから部分開示の余地はなく,入学料徴収猶予の内容及び未納額は,他人に知られたくない当該学生の入学料未納に係る機微な情報であるので,当該学生の権利利益を害するおそれがないとは認められないので,部分開示できない。
したがって,当該不開示部分は法5条1号に該当し,不開示とすることが妥当である。
(10)不開示部分10について
ア 当該部分は,①採用等を要望する特定の組織の長の氏名・職名並びに②教員採用予定の概要に係る職務内容及び応募書類部分であることが認められる。
イ 上記①は,特定の個人(教員)を識別することができるものに該当すると認められる。そこで,当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,当該教員の公表慣行について,改めて確認させたところ,当該教員の氏名・職名は公表慣行があるとのことである。
そうすると,特定の組織の長の氏名・職名部分は長岡技術科学大学において公表慣行があるので,法5条1号ただし書イに該当する。また,当該部分は,特定の組織の長である教員が教員採用等の選考を実施したという情報にすぎないので,公にすることにより,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものとは認められない。
したがって,上記①は法5条1号及び4号ヘのいずれにも該当せず,開示すべきである。
ウ 上記②は,人事管理上の情報とまではいえない一般的な内容や実際に公募した公募要領と同様の内容にすぎないので,特定の個人を識別することができるもの及び特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるものに該当せず,また,公にすることにより,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものとは認められない。
したがって,上記②は法5条1号及び4号ヘのいずれにも該当せず,開示すべきである。
3 文書2の法人文書該当性について
(1)当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,音声記録の取得の状況,管理・保存の状況及び利用状況等について,改めて確認させたところ,諮問庁は,おおむね以下のとおり説明する。
ア 教授会の議事要旨は,通常,本学の職員が手書きでとったメモをベースに作成しており,音声記録はそれを補うために使用するものである。具体的には,担当職員が職務上義務付けられている議事要旨の作成に当たり,質疑応答が紛糾するなど発言主旨が不明となった場合にのみこれを使用し,確認するものである。
なお,本学の文書管理規則においては,音声記録の取扱いについて定めがなく,飽くまで個人的に使用するための記録であり,組織的に用いているものではない。
イ 音声記録は,録音後,議事要旨作成が完了するまで,長岡技術科学大学が保有し,議事要旨の作成を担当する部署において共有されているICレコーダーに一時的に保存しているが,保存を義務付ける取扱いもなく,担当職員が自己の判断によりデータを削除している。
(2)以下,上記諮問庁の説明も踏まえ検討する。
ア 諮問庁は,音声記録について,文書管理規則に定めがなく,飽くまで個人的に使用するための記録であり,組織的に用いるものではない旨説明する。
しかしながら,上記(1)の諮問庁の説明によると,教授会の議事要旨作成に当たり,発言主旨が不明な場合にそれを補うことを目的に音声記録を使用することがあるとのことであるので,音声記録は,担当職員が職務上,作成が義務付けられている教授会議事要旨を作成するための補助手段になっているものと認められる。また,その管理・保存の状況についても,担当職員のみが利用可能な状態にあったとは認められない。
以上のような音声記録の性質及び利用状況等を踏まえると,音声記録は,教授会の議事要旨作成のために,担当部署において利用及び保存される電磁的記録であるといえ,法人文書としての組織共用性が認められる。
イ したがって,音声記録は,法2条2項に規定する法人文書に該当すると認められるから,これにつき,改めて開示決定等をすべきである。
4 審査請求人のその他の主張について
審査請求人は,法7条に基づき裁量的開示をすべきであると主張するが,上記2において不開示とすべきと判断した各不開示部分を公にすることに,公益上特に必要性があるとすべき事情は認められないため,同条による裁量的開示を行わなかった処分庁の判断に裁量権の逸脱又は濫用があるとは認められない。
また,審査請求人は,その他種々主張するが,いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。
5 本件一部開示決定の妥当性について
以上のことから,本件対象文書につき,文書1の一部を法5条1号,3号及び4号ヘに該当するとして不開示とした決定については,審査請求人が開示すべきとし,諮問庁がなお不開示とすべきとしている部分のうち,別表の4欄に掲げる部分を除く部分は,同条1号及び4号ヘに該当すると認められるので,同条3号について判断するまでもなく,不開示としたことは妥当であるが,別表の4欄に掲げる部分は,同条1号,3号及び4号ヘのいずれにも該当せず,開示すべきであり,文書2を法2条2項に規定する法人文書に該当しないとして不開示とした決定については,文書2は法人文書に該当すると認められるので,これにつき改めて開示決定等をすべきであると判断した。
(第5部会) |
委員 南野 聡,委員 泉本小夜子,委員 山本隆司
別表
1 本件不開示部分
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2 不開示理由(法5条) |
3 原処分の誤りであり改めて開示する部分 |
4 開示すべき部分 |
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不開示部分1 |
指導教員の資格認定に係る情報 |
1号 |
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資格発生日(承認日)部分(7頁) |
不開示部分2 |
大学院学生の指導教員等に係る情報 |
1号 |
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既に指導教員として認定されている教員の氏名・職名部分(57頁,137頁及び286頁) |
不開示部分3 |
入学者選抜試験の選考に係る情報 |
1号 |
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不開示部分4 |
卒業・修了認定及び学位授与論文等の審査委員候補者に係る情報 |
1号 |
平成29年度第3回教授会の審査委員候補者名簿(平成29年8月修了予定者)の3人目の下から3行目の不開示部分については,原処分時点において公表されている情報であるにもかかわらず誤って黒塗りされている部分であり,当該部分については改めて開示の実施を行う。(130頁) |
学内審査委員の氏名・職名(128頁ないし131頁,218頁,246頁,247頁及び251頁) 平成29年度第1回教授会代議員会の審査委員候補者名簿の左側の者に係る専攻分野及び主たる研究業績部分(4頁) 上記名簿の右側の者に係る学位(取得月を除く。),専攻分野,学歴・職歴(月を除く。)及び主たる研究業績部分(4頁) 平成29年度第3回教授会の審査委員候補者名簿2枚目の左側の者に係る生年月日及び現住所を除く全ての部分(133頁) 上記名簿2枚目の右側の者に係る現住所及び学歴・職歴欄の上から1行目を除く全ての部分(133頁) 上記名簿3枚目の左側の者に係る生年月日,現住所及び学位の取得年月を除く全ての部分(134頁) 上記名簿3枚目の右側の者に係る学歴・職歴欄の下から2行目及び3行目(年月を除く。)部分(134頁) 上記名簿4枚目の右側の者に係る生年月日(月日を除く。),学位(取得年月を除く。),専 攻分野,学歴・職歴欄の上から7行目(年月を除く。),8行目(月を除く。),10行目(月を除く。),11行目(月を除く。),12行目(月を除く。)及び主たる研究業績部分(135頁) 上記名簿5枚目の者に係る生年月日(日を除く。),学位,専攻分野,学歴・職歴欄の上から1行目,7行目ないし10行目,11行目(年月を除く。)及び主たる研究業績部分(136頁) 平成29年度第4回教授会代議員会の審査委員候補者名簿1枚目の者に係る学位(取得年月を除く。),専攻分野,学歴・職歴欄の上から2行目(月及び 研究科・課程の名称 を除く。),3行目,4行目(月を除く。),5行目(月を除く。),6行目(月を除く。),7行目(月を除く。),8行目ないし11行目及び主たる研究業績部分(219頁) 上記名簿の2枚目の者に係る現住所を除く全ての部分(221頁) |
不開示部分5 |
単位認定に係る情報 |
1号 |
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英語に係る認定科目名部分(58頁) |
不開示部分6 |
教員選考及び名誉教授の選考等に係る情報 ①教員の採用に係る申請書 ②教員選考委員会設置依頼書 ③教員選考委員会委員の交代 ④教員選定過程報告書 ⑤履歴書,推薦理由書及び教育研究業績の概要 ⑥任期付教員再任希望申出書,教育研究業績書,再任審査委員会候補者名簿及び再任審査結果報告書 ⑦非常勤講師,客員教授等調書,推薦理由書及び教育研究業績書 ⑧名誉教授候補者一覧,選考調書及び推薦理由書 |
1号 ただし,①ないし④は3号及び4号ヘにも該当 ⑤ないし⑦は4号ヘにも該当 |
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①及び② 特定の組織の長の氏名・職名部分(17頁,19頁,45頁ないし50頁,75頁,76頁,85頁,86頁,177頁ないし180頁,235頁,236頁,297頁,298頁,303頁ないし306頁,315頁,316頁,322頁及び323頁) ①及び② 公募に係る後任補充の場合の前任・後任の関係部分を除く部分(17頁,19頁,45頁ないし50頁,75頁,76頁,85頁,86頁,179頁,180頁,297頁,298頁,303頁,304頁,315頁,316頁,322頁及び323頁) ③ 採用予定職及び採用予定年月日等(44頁及び87頁) ④ 特定の組織の長の氏名・職名部分(88頁,237頁,300頁,317頁及び324頁) ④ 公募に係る後任補充の場合の前任・後任の関係部分を除く部分(88頁,300頁,317頁及び324頁) ④ 公募に係る募集開始日及び応募締切日部分(88頁,300頁,317頁及び324頁) ④ 人事交流等に係る募集開始日,応募締切日及び応募人数部分(237頁) ⑥ 再任審査委員会委員の職名部分(310頁) |
不開示部分7 |
転入学者選考に係る情報 |
1号 |
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不開示部分8 |
転専攻の選考に係る情報 |
1号 |
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不開示部分9 |
入学料未納者に係る情報 |
1号 |
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不開示部分10 |
議事要旨 |
1号及び4号ヘ |
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全ての不開示部分(5頁,43頁,74頁,176頁,227頁,291頁及び302頁) |