【裁判所】 |
最高裁判所 |
【裁判年月日】 |
令和1年9月20日 |
【要旨】
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1 上告について
民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告理由は,違憲及び理由の不備・食違いをいうが,その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって,明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
2 上告受理申立てについて
本件申立ての理由によれば,本件は,民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。
【概要】
本件は上告人が被上告人に対し,(1)行政機関情報公開法(情報公開法)に基づき,外務省の保有する文書の開示請求をしたが,外務大臣が不開示決定をしたため,同決定を不服として異議申立てをしたところ,情報公開・個人情報保護審査会(審査会)への諮問までに約2年を要したことにより,控訴人の審査会による審査・検証を受ける利益が侵害されるとともに,控訴人の情報公開請求権ないし知る権利が著しく侵害され,精神的苦痛を被ったと主張して,国賠法1条1項に基づき,慰謝料5万円及び遅延損害金の支払,(2)外務大臣に対し平成29年5月16日付けで別の開示請求をしたところ,外務大臣が同年6月5日に開示決定等の期限を延長する通知(本件通知)をし,全ての開示決定をするのに平成30年5月31日まで要したことについて,ア外務大臣の上記対応等により,控訴人の情報公開請求権ないし知る権利が著しく侵害され,精神的苦痛を被ったと主張して,国賠法1条1項に基づき,慰謝料5万円及び遅延損害金の支払(以下「請求②」という。),イ外務大臣に不作為の審査請求をしたのに,平成29年7月6日に審査会への諮問を経ることなく不適法であるとして却下(本件却下処分)され,不作為の審査請求権を侵害されるとともに,審査会による審査・検証を受ける利益が侵害され,精神的苦痛を被ったと主張して,国賠法1条1項に基づき,慰謝料10万円及び遅延損害金の支払(以下「請求③」という。)を求める事案である。第一審千葉地裁松戸支判平成30年10月1日は,控訴人の請求を棄却した。第二審東京高判平成31年2月6日も控訴棄却。そこで上告人が上告したのが本件である。本件上告を棄却する。本件を上告審として受理しない。
【上下級審判決】
【同一事案の答申】
【参考となる判決】
【添付文書】